ワインを題材にした漫画が大流行し、そのテレビシリーズやら、映画までヒットする始末。ワイン業界に携わる者としては有り難いことですが、果たして一般の人に、どんなメッセージを与えているのかしら?と思い、あまりワインに詳しくない人、飲む習慣のない人などを対象に、感想を聞いてみました。

まず、皆が口を揃えて言うのは、『ワインがあんなに深いとは知らなかった』『追求したら面白そう」などなど、一見ポジなのです。人に依っては「ワインをもう少し飲んでみようかと思った」という嬉しい意見も。

でも、雫君や、ソムリエールの天才的な嗅覚や、技、そしてこうした主人公を取り囲む『専門家』達が延々と繰り広げるワインの<うんちく>。蘊蓄を理解する私でさえも、「カモーン!』とうざくなるくらい、一般人を遠のけている気がする。

そもそも、ワインはただのお酒、アルコール飲料ですよ。って、ちゃちゃをいれたくなります。

話を聞いた人からは、そういった<ワインアレルギー>を感じる。つまり、どうせ私は雫君のような神に近い嗅覚も、ソムリエールのような天性のこだわりもないもんね。やっぱ、アルコールは楽しく飲みたい っていう声が聞こえてきそう。

勿論ワインを本格的に楽しむには、或る程度の知識と経験が必要。でも、それは決して高尚なものでも、一部のエリートの<特にフランスのワインしか飲まない類いの>オタクっぽい人たちの偏った知識ではありません。

それは、「面白い、おいしい、どこの、なんで〜?」から始まる、いわば人間関係っていうか、恋愛みたいな物。良ければ知りたい。おいしければ飲みたい。そして自分が買える範囲で、もっとずっとおいしいワインや、飲み方があるなら、知っておいた方がお得。

ということで、わたくしめは、これからも偏らず、こむずかしくならず、一般常識が通じる範囲で、ワインの楽しさを、喜びを伝えて行きたいな。

Yuki Saito

斉藤ゆき

Diploma WSET, Certified Sommelier, Master of Wine Program
ワイン・コンサルタント 品評会審査員 ワイン・ライター

ニューヨークで金融キャリアを構築後、 生涯のパッションであるワインを、欧米のトップスクールで学び、日本人として希有な資格を数多く有するトッププロ。

ワイン教育の最高学府、Wine and Spirits Education Trust (WSET)の学位(レベル4最上位)をカリフォルニアで、上級資格(レベル3)をトップで本校(ロンドン)にて取得。更に、ソムリエ機関の世界的権威であるCourt of Master Sommeliers(ロンドン)の認定ソムリエ資格も有する。フランス留学は頻繁で、ボルドー、ブルゴーニュを始め、各地のワインスクールでフランス人と共に学ぶ。

現在は、サンフランシスコをベースに、ワインの顧問業務(日米)、連載記事の執筆と講演(日米)、品評会審査と視察(日欧米)を3本柱に活躍する傍ら、ワイン業界最高峰といわれるマスター・オブ・ワインのプログラムに所属し、MWを目指して切磋琢磨中。

1 Comment

  • Samurai 10月 7, 2012 at 10:52 pm

    ゆきさんの言うとおりです。ワインの説明はそもそも”美味しい”という喜びを親しい人に伝えたいと思うところから始まっているわけで、素直に美味しいということが説明できれば良いわけですよね。ワイン通の人たちの使う言葉が素直な気持ちで受け取りにくいものであればワインの輪は広がらないように思います。では、どんな言葉を使えば聞く人たちが素直にワインの素晴らしさに目覚めるのか、それはゆきさんたちワインのプロの挑戦ですね。しっかり、どうぞ。

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