アメリカを代表するワインと言えば、カベルネやシャルドネを筆頭に、いわゆる『international grape』といわれる品種、つまり、全世界中で飲まれ、作られ、親しまれている人気ブドウ種がベースになっています。それに比べて、イタリアは200種以上の地ブドウがあり、各地で独特のワインが作られ、親しまれてきました。

とはいっても、アメリカにもジンファンデルという地ブドウがあります。ソノマ、ナパ、ローダイ、セントラルコーストなどカリフォルニア全域で、栽培されており、中には樹齢が100年という古木も多々有るのですね。 作り手に依っては、ラズベリー、ストロベリーにスパイスをまぶした味わいの、比較的軽口のスタイルもあり、また古木から採れる深い味わいの凝縮されたを使い、かなりフルボヂィの豊満なジンファンデルもあり、アメリカ人はこのワインが大好き。

アメリカのブドウから作った赤ワインなので、当然ヘビーなアメリカ食と相性が良く、ハンバーガー、ピザ、ホットドッグと飲むのが人気。ワイン自体がしっかりとした味わいなので、カクテルとして(つまり食べ物無しで)飲む事が普通です。

ところが、あれれ?なんとジンファンデルは、実は、アメリカの地ぶどうではなく、イタリアのプリミティヴォという品種が親だったということが分かりました。しかも近年のDNA鑑定で辿ってみたら、更にさかのぼって、祖先はクロアチアの地ぶどうだったとのこと。

私の自宅のお蔵には、イタリアのプリミティヴォも置いてありますが、その中でもよく飲むのは、プンタアクイラというメーカーの2008年物。いつも、きちんとデカンタし(というか、その時になって、飲みたいワインを取り出すので、そうせざるを得ないのです。出来れば午後の3時までに、その夜に、何を飲むか決め、室温に戻し、数時間前にデキャンタをしておけば良いのですが、そんな計画性がない、、、)そして大振りのボルドーグラスに注ぎます。

カリフォルニアのジンファンデルは、ストロベリー、ラズベリー、レッドチェリーにスパイスをまぶし、干したような濃厚でゴージャスな香りと味わいが売りですが、イタリアの相方は、レッドベリーの香りに、すみれ、ナツメッグ、ほこり、sundried tomatoというイタリアならではのアローマが加わります。

口に含むと、濃厚なジンファンデルに比べると、さらっとした感じで、その高い酸味がイタリアのワインらしく、食欲をそそります。タニンはかなり高いのですが、バランスのとれたバックボーンとしてきっちりとさりげなく収まっています。アルコール度数は、カリフォルニア物より多少低いとはいえ14%はありますが、酸味、タニンなどのスケールにうまく調和して、気になりません。

アロマで感じた複雑さは、口中にあってもそのまま広がり、良く熟成しながら、熟れすぎていないイチゴ、サクランボ、ラズベリーに、更にイタリアのハーブ 例えば オレガノ、イタリアンパセリ、ローズマリー などの心地良い土臭に繋がっていきます。フィニッシュは長く、赤いフルーツとタニンや酸味が、口中に尾を引きます。

例えば、右の写真はジンファンデルの古木で有名な、カリフォルニアはローダイで作っているワインですが、こういったどっしりとしたカリフォルニアワインと、同じ品種でもヨーロッパで手がけたワインを飲み比べてみるのは、とても楽しいものです。是非、一度お試し下さい。

 

Yuki Saito

斉藤ゆき

Diploma WSET, Certified Sommelier, Master of Wine Program
ワイン・コンサルタント 品評会審査員 ワイン・ライター

ニューヨークで金融キャリアを構築後、 生涯のパッションであるワインを、欧米のトップスクールで学び、日本人として希有な資格を数多く有するトッププロ。

ワイン教育の最高学府、Wine and Spirits Education Trust (WSET)の学位(レベル4最上位)をカリフォルニアで、上級資格(レベル3)をトップで本校(ロンドン)にて取得。更に、ソムリエ機関の世界的権威であるCourt of Master Sommeliers(ロンドン)の認定ソムリエ資格も有する。フランス留学は頻繁で、ボルドー、ブルゴーニュを始め、各地のワインスクールでフランス人と共に学ぶ。

現在は、サンフランシスコをベースに、ワインの顧問業務(日米)、連載記事の執筆と講演(日米)、品評会審査と視察(日欧米)を3本柱に活躍する傍ら、ワイン業界最高峰といわれるマスター・オブ・ワインのプログラムに所属し、MWを目指して切磋琢磨中。

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