ワインのことちょっと知りたい……. その2

第二話はワイン作りについて、もう少し踏み込んで、ご説明しましょう。今回は赤ワインをとりあげましょう。

まずは黒ブドウ(カベルネ ソービニョン、メルロー、ピノ ノワールなど)の熟成を待って収穫(良質なワインは手積み)しますが、大切なのはいつ収穫するかという判断。天気予報を横目に、ブドウの糖分などをモニターしつつ、出来れば一番理想的な熟成を待って摘みたい、、、のは山々ですが、その年の気候、収穫時の天気(雨が来たら、折角のブドウが水ぶくれになり、台無しになります)、人的経済的な要因などが絡まり、とても難しい判断になります。

例えば、今年は冷夏だったので、あと2週間は待たないと、ブドウが実りきらない。けれど、その間に天気が崩れたら 、一巻の終わり。さて、あなたなら、どんな判断を下しますか?質的に問題があっても、とりあえずはその年の収穫(量)を確保する?それとも、質の為にギャンブルを打ちますか?しかも収穫日を決めても、全ての農家が自前で収穫出来る訳ではなく、基本的には季節労働者(ここカリフォルニアでは圧倒的にメキシコ人が主流です)頼り。勿論彼らは掛け持ちで近所のワイナリーの収穫に携わっている訳ですから、順番というものがあります。

その点、高級ワイナリーは優先的に、毎年メキシコから収穫に来るクルーを確保したり、住み込みのクルーや、地元の専門会社などとの契約があるので、安心です。(その分、しっかりとワインの値段に反映)

また、収穫の方法も、高級ワインであれば、枝の付いたままの状態でブドウを手摘みすますが、一般的には枝を揺さぶってブドウの実を落として行く機械での収穫となります。ブドウが痛み易いのは、当然後者となります。

ブドウは 木からもぎ取られた瞬間から、醗酵を始めますし、痛みもはやくなります。品質重視のワイナリーでは、 摘んだブドウがつぶれないよう、わざわざ小さなバスケットを使い、 畑の要所要所に小さなタンクを置いています。また、暑い地域では、ブドウの温度を上げない様に、一番涼しい明け方や真夜中に、収穫するワイナリーもあります。

もっとも、スーパーなどで安価で売っているワインは、まずは機械で収穫し、どさっとまとめて大きなタンクにいれてしまいます。そして痛みを防ぐ為に、薬品を散布しておきます。

さて、圧搾所に運ばれたブドウは、まずはベルトコンベアのような選果台に載せられて、人間の手と目で選別されます。この選果台の上には、ブドウの他にそれはそれは沢山の異物が混入しているんですよ。葉や枝は勿論、小石、昆虫やヘビなんていうのもあります。そしてここでも品質重視のシャトーは、経験豊富なプロのみが選別(というか峻別)に当たり、異物は勿論、十分熟成していない果実や、痛んだブドウは全て捨てられます (或は、セカンドレベル用のワインに使われます)。大変お金をかけて超高品質のシャトー(ナパ)では、コンベアの長さが数十メートルという(長ければ長いほど、選別が行き届きますから)ものもあります。

逆に、もしこの選別過程がいい加減だったとしたら、、、、。ちょっとぞっとしませんか?

さて、次回はいよいよブドウジュースから赤ワインに至る行程をご説明します。例えば、同じ赤ワインでも何故あんなに色の違いが出るのかしら?とか。

Yuki Saito

斉藤ゆき

Diploma WSET, Certified Sommelier, Master of Wine Program
ワイン・コンサルタント 品評会審査員 ワイン・ライター

ニューヨークで金融キャリアを構築後、 生涯のパッションであるワインを、欧米のトップスクールで学び、日本人として希有な資格を数多く有するトッププロ。

ワイン教育の最高学府、Wine and Spirits Education Trust (WSET)の学位(レベル4最上位)をカリフォルニアで、上級資格(レベル3)をトップで本校(ロンドン)にて取得。更に、ソムリエ機関の世界的権威であるCourt of Master Sommeliers(ロンドン)の認定ソムリエ資格も有する。フランス留学は頻繁で、ボルドー、ブルゴーニュを始め、各地のワインスクールでフランス人と共に学ぶ。

現在は、サンフランシスコをベースに、ワインの顧問業務(日米)、連載記事の執筆と講演(日米)、品評会審査と視察(日欧米)を3本柱に活躍する傍ら、ワイン業界最高峰といわれるマスター・オブ・ワインのプログラムに所属し、MWを目指して切磋琢磨中。
2 返信
  1. Samurai
    Samurai says:

    なるほど、ゆきさんの説明は良くわかります。きっと手摘みのぶどうの収穫って大変な重労働なんでしょうね。一本のワインを作るのにどのくらいのぶどうが必要になるのでしょうか?まさに重労働の汗の結晶ですね。次の説明を楽しみにしてます。

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