By / 6th 6月, 2012 / ワインの知識 / 1 Comment

最近、ワインのボトルの栓として定番だったコルクに代わって、様々な蓋が登場しています。中でも、 一番支持を集めているのが、簡単にひねって開けられる 「スクリューキャップ」でしょう。消費者としては、道具無しで、簡単に開けられ、しかもコルクにつきもののブッショネ(コルクの汚染が原因に依る悪臭)というリスクが皆無なことで、ワインを安心して、購入出来ます。

製造者としては、ポルトガルを始め、スペインの一部で作られる高価なコルクを輸入せずに、地元で調達できるスクリューキャップは、製造価格を抑え、またブッショネによる返品のリスクもないので、本心としては積極的に導入したいところ。

実際、新世界のワイン地域でも、特に合理的なマインドを持ち、ワインの栽培や醸造に革命的な手法をもたらしたオーストラリアと、ニュージーランドは、世界に先駆けて、このスクリューキャップを使用しています。

それでは何故今でも、高価で、汚染のリスクがあるコルクが、使われ続けているのでしょうか?答えは「イメージ!」にあるようです。それは一般消費者に、コルクの打っていないワインは「安物」というイメージが根強く、その反映もあって、例えばフランスの主立ったシャトーや、高価なナパのワインなどに、コルク以外の栓が使われる事は、未だありません。

しかしながら、彼らの実質的な懸念として、スクリューキャップで蓋をしたワインが、長期熟成に適格かという未解決な問題があります。というのは、コルクの栓は完全密封ではないので、 酸素が瓶に忍び込み、ワインの熟成を促す訳ですが、空気を全く通さない(とされる)スクリューキャップでは、長期熟成用のワインにどんな影響を及ぼすのかが、未だ明らかになっていません。何故なら、スクリューキャップが出回り始めたのは、比較的最近だからです。

ちなみに、カリフォルニアのある高品質ワイナリーに招待され、面白い経験をしたことがあります。そのシャトーでは、正にスクリューキャップがワインの熟成にどんな影響を及ぼすのかを調べるため、5年ほど前から、コルクとスクリューキャップを半々に使って、実験をしているのです。

その日は、ワイナリーのオーナーとワインメーカーが、私たち会員の為に、一緒にその試飲会を行ったのでした。私の感想はと言えば、まだ5年という比較的に若いワインではありましたが、スクリューキャップのワインは、未だに若さを保っているというか、味わいが時間とともに経過していないという感じがあり、一方、コルクのワインは、予定通りの酸化に伴う熟成が進んでいるような、気がしました。最も、出席者の中の多くは、「違いが感じられない」との意見だったようですが。

ひとつ改めて認識して頂きたいのは、普段飲むようなワインは、長期熟成型ではなく、従ってコルクの必要がないということですね。一般的に、ワイン(特に赤ワイン)は、瓶のまま自宅で寝かして置いた方が良い = 美味しくなる、という誤解があるようです。勿論、プロ、或はかなりのワイン通であれば、日常的にデカンタをし、こういった$XXXワインを開けるのでしょうが、一般のワイン(白はほとんど全て、そして赤も大部分)は、買って直ぐに飲む為に作られたワインなのです。

実際、先ほど話の出たオーストラリアや、ニュージーランドでも、白ワインはスクリューキャップが使われていますが、赤ワインにはコルクが使われる事が多々あります。或は、コルクの形をした、塩化ビニール製のコルクもどきが使われているようです。

ということで、本日のアドヴァイス。これからは、白ワインや日常で飲む赤ワインは、スクリューキャップを愛用しましょう。その方が、飲み残した後の保存も、とっても楽ですよ。

Yuki Saito

斉藤ゆき

Diploma WSET, Certified Sommelier, Master of Wine Program
ワイン・コンサルタント 品評会審査員 ワイン・ライター

ニューヨークで金融キャリアを構築後、 生涯のパッションであるワインを、欧米のトップスクールで学び、日本人として希有な資格を数多く有するトッププロ。

ワイン教育の最高学府、Wine and Spirits Education Trust (WSET)の学位(レベル4最上位)をカリフォルニアで、上級資格(レベル3)をトップで本校(ロンドン)にて取得。更に、ソムリエ機関の世界的権威であるCourt of Master Sommeliers(ロンドン)の認定ソムリエ資格も有する。フランス留学は頻繁で、ボルドー、ブルゴーニュを始め、各地のワインスクールでフランス人と共に学ぶ。

現在は、サンフランシスコをベースに、ワインの顧問業務(日米)、連載記事の執筆と講演(日米)、品評会審査と視察(日欧米)を3本柱に活躍する傍ら、ワイン業界最高峰といわれるマスター・オブ・ワインのプログラムに所属し、MWを目指して切磋琢磨中。

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