前回はブルゴーニュの老舗、ロマネコンティ社主催の夕食会に出席したお話を中継(?)しましたが、今回はボルドーはメドックのスーパーセカンドと言われるシャトー コス デストウネルのVertical Tasting バーティカル テイスティング(直訳すると『縦の試飲』、つまり同じ生産者の代々のワインを年代順に追って試飲するというとても贅沢で希有な試飲会です)に出席して来ました。

フランスワインのファンであれば、この難しい名前のシャトー(略してこの記事の中では、勝手に『コス』と呼びましょう)はご存知のはず。コスの意味は、フランスの古語で「砂の丘」のこと。文字通り、この一風変わったオリエンタル宮殿風のシャトーは、サンエステフ村に入ってすぐに、小高い丘に建っています。しかもお隣はあのシャトー ラフィット。

ここで、「ちょっと待って!ついて行けないっ!」っていう声が聞こえて来そう。なので、ボルドーのシャトーのおさらいをしましょう。ボルドーには、5大シャトーといわれる超高級シャトーがあります。マルゴー、ラフィット・ロートシルト、ムートン・ロートシルト、ラトゥール(以上はコスと同じくメドック地方在)に、少し南に有るオーブリヨン。これらのシャトーに共通するのは、グランクリュー『第一級』という格付け。ちなみにメドックのシャトーの最高位の格付けは、グランクリュー第一級からグランクリュー第五級とされています。が、ここで知っておいて頂きたいのは、そもそもこの格付けがされたのは、大昔の1855年であること。また、当時の格付けの手法は、決して科学的でも緻密であったとも言いがたく、しかも現在に居たるまで、その制度については、全く見直しがなされていないということ。

当然のことながら、一級でも質が落ちる時期がありますし、ましてやワインの製造技術が発達した現代では、二級以下のシャトーの質がぐんぐんとあがり、5大シャトーに比肩する実力を持つシャトーも出て来ています。が、格付けはそのままなんですね。

とはいえ、金儲け主体のワインの投資家ならともかく、本当のワインラバーであれば、格付けに拘らず、本当の質を追求するはず。そして、そのひとつの結果として、所謂「スーパーセカンド」といわれる「第一級シャトーと同じレヴェルの第二級シャトー」がもてはやされております。勿論、3級以下でも、そういうシャトーは有る訳で、だからワインは面白いし、逆に自分の価値判断力を持たないと、格付けに振り回されて、大変な出費をする羽目になる訳ですが…..

話が長くなりましたが、このコスはそんなスーパーセカンドなのです。

今回の試飲会は、オールドマネー(旧家)とニューマネー(ハイテク)が存在する、ここサンフランシスコのワインクラブが主催したもので、わざわざフランスからシャトー コスのオーナー、ムッシュ ジャン ギヨーム プラッツ氏を招聘しての開催。出されたワインは、1981年から最新ヴィンテージの間の15種類を、出席者が評価、投票するというものでした。

ちなみに、右上の写真はわたくしのテーブルのセットアップですが、これだけのワインの数は、見るからに壮観でしょう?そして下の写真がプラッツ氏を中央に、右がこのワインクラブの主催者の一人、ウオーターマン女史です。次回は、試飲したワインについての、ご報告をします。

 

 

 

Yuki Saito

斉藤ゆき

Diploma WSET, Certified Sommelier, Master of Wine Program
ワイン・コンサルタント 品評会審査員 ワイン・ライター

ニューヨークで金融キャリアを構築後、 生涯のパッションであるワインを、欧米のトップスクールで学び、日本人として希有な資格を数多く有するトッププロ。

ワイン教育の最高学府、Wine and Spirits Education Trust (WSET)の学位(レベル4最上位)をカリフォルニアで、上級資格(レベル3)をトップで本校(ロンドン)にて取得。更に、ソムリエ機関の世界的権威であるCourt of Master Sommeliers(ロンドン)の認定ソムリエ資格も有する。フランス留学は頻繁で、ボルドー、ブルゴーニュを始め、各地のワインスクールでフランス人と共に学ぶ。

現在は、サンフランシスコをベースに、ワインの顧問業務(日米)、連載記事の執筆と講演(日米)、品評会審査と視察(日欧米)を3本柱に活躍する傍ら、ワイン業界最高峰といわれるマスター・オブ・ワインのプログラムに所属し、MWを目指して切磋琢磨中。

1 Comment

  • Samurai 6月 15, 2012 at 2:04 pm

    スーパーセカンドとは最近良く聞く言葉ですが、ようやく意味がわかりました。スーパーサードとかもあるんですか?分かりやすい説明感謝です。

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