自分のワインを作ってみたい? その2

その2: ブレンディングをしました

 

さて、6月に入り、ピノ ノワールの出来映えのチェックと、最終的なブレンディングを行うため、またまたウィステリアヒロと一緒に、クラッシュパッドに出向。

 今回のテーマは、「アメリカ版ロマネコンティ」と日本で評判の高い「カレラ」のピノに限りなく近いワインを作る事。しっかり者のウィステリアヒロが、正にその「カレラのピノ」のボトルを 持参し、クラッシュパッドのワインメーカーと3人で、ブレンディングセッションを開始。

 今回は、全く同じ条件のピノを二樽、お客様の為に作ったのですが、最初の樽は酸味が高く、フレッシュで軽快、二つ目はよフルーティーでボヂィーがあります。これがワインの面白さで、「ワインは生き物!」という所以ですが、同じ畑、同じブドウ種、同じ年に、同じ作り手が、同じ仕様の樽を使って 作ったワインでも、これだけ、味が違うのですね。

 だからこそ、全てのワインメーカーにとって、ブレンドというのは一番大切な仕上げなのです。 どの地域のブドウから出来たワインを使うのか、更に同じ畑のブドウでも、日照角度の違うブドウの木から摘んだブドウは、別々の樽に収まりますし、勿論樽の種類は多種多様(フランス製、アメリカ製、新樽、古い樽、大きい樽、小さい樽などなど)で、全て加わる風味が異なって来ます。

 今回のブレンディングは、100%ピノという、比較的シンプルなブレンドですが、同じピノでも、何十種類ものクローンが植えられています。当然、今回のブレンドにも、 クローン15、 クローン828、クローン667等という何種類かのピノ クローンを、使っていますし、更に言えば、同じクローンでも植え育てた地域、畑が異なれば、味も違います。

 但し、ベースとなるピノは既にお客様の樽に入っているので、飽くまでそのワインに対して、最高15%まで、他の樽のピノを混ぜることが出来ます。これは、カリフォルニア州のワイン法の『85%ルール』という規定で、もしレベルに地域の名称(例えば、ナパなど)を謳った場合には、その地域から採れたブドウが85%を、占めていなければならないという縛りがあります。

 勿論採れた地域のブドウを85%以下にして、ブレンドすることもあり、この場合は、ワインのレベルは単に、カリフォルニアワインと表示されます。

 今回のブレンディングは、スプリットロックという、秀逸なソノマ コーストAVA内にある、更に小区画のsub-AVAともいえる地域でとれたブドウをベースに、カレラ ジェンセン (Calera Jensen) のピノに良く似た味わいに持って行く事が目的です。

 このベースワインと、実際にカレラ ジェンセンのピノ ノワールを飲み比べながら、色々な樽から持って来たピノをこのベースワインに加えたり、減らしたり、違う調合を試みたりと、長い時間をかけて、ブレンドをしました。

 このようなブレンディングを、始めて経験したというウィステリアヒロが感嘆したのは、ほんの1%違う畑のブドウを加えただけで、どれほどボトル全体の味を変えてしまうかという事実。それだけで、フルーティーになりすぎたり、渋くなりすぎたり、大変デリケートな作業です。

 添付の写真の通り、クラッシュパッドのワインメーカーに対して、当方の意見を述べ、調合をやり直したりする事2時間ほど。3人が3人とも「うん!これだ」というワインが出来上がりました。この調合方程式に沿って、クラッシュパッドでは当方のお客様のワインをブレンドし、いよいよ瓶詰めが始まります。

Yuki Saito

斉藤ゆき

Diploma WSET, Certified Sommelier, Master of Wine Program
ワイン・コンサルタント 品評会審査員 ワイン・ライター

ニューヨークで金融キャリアを構築後、 生涯のパッションであるワインを、欧米のトップスクールで学び、日本人として希有な資格を数多く有するトッププロ。

ワイン教育の最高学府、Wine and Spirits Education Trust (WSET)の学位(レベル4最上位)をカリフォルニアで、上級資格(レベル3)をトップで本校(ロンドン)にて取得。更に、ソムリエ機関の世界的権威であるCourt of Master Sommeliers(ロンドン)の認定ソムリエ資格も有する。フランス留学は頻繁で、ボルドー、ブルゴーニュを始め、各地のワインスクールでフランス人と共に学ぶ。

現在は、サンフランシスコをベースに、ワインの顧問業務(日米)、連載記事の執筆と講演(日米)、品評会審査と視察(日欧米)を3本柱に活躍する傍ら、ワイン業界最高峰といわれるマスター・オブ・ワインのプログラムに所属し、MWを目指して切磋琢磨中。
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