9月はロンドン近郊で開催される国際ワイン品評会に、審査員として参加する仕事を皮切りに、ドイツ各地で行われるプレミエール(11年度のドイツワイン発表会)にゲスト(ジャーナリスト)として招待されました。また毎年二回長期滞在するフランスですが、今回は短期ですがロワールに焦点を当て、日本食にマッチするワインを求めて、主要アパラシオンのテロワール及びワインメーカーを訪問します。また、日本の皆様には余り馴染みが無いかとおもわれるポルト(ポルトガル)を訪問し、同じ目的でポルト市内に林立する大手(イギリス系)及び地場(ポルトガル)のボデガで試飲、またポルトの産地であるドウロ バレーに行き、テロワールと生産者の訪問、見学をして参ります。

現在はロンドンの市内(チェルシー地区)のアパートを拠点に、近年更にグレードアップしているロンドンの色々なレストランを訪れ、アメリカ及び日本では味わえないヨーロッパワインとのペアリングに精を出しています。やはり「生もののワインは現地で飲む」というのが基本ですが、長い間愛飲して来たスペインのリオハを始めとする赤、白のワインを飲んでショックを受けました。それは、地続きのイギリス、ワインの消費の中心地であるロンドンで飲むと、同じワインが、ずっと美味しいのです。

ということは、ニューヨークという世界の飲食の中心といわれている場所で何十年も飲んで来た同じワインは、遥か遠くから輸入、輸送する中で、酸化が進んだり、高温にさらされたりと、多かれ少なかれ「鮮度」が落ちていたようです。

但し、イタリアの高級産地で高品質メーカーの多いトスカーナのワイン(昨夜飲んだ物はブルネロデ モンタルチーノ)の味には、変わりはありませんでした。きっと輸入元がしっかりした先が多く、冷蔵庫付きの船などできちんと輸送しているのでしょうね。その分、やはり割高なワインが多いのですが。

要は、今回のヨーロッパ訪問の目的は、正にアメリカ及び日本ではなかなかフレッシュのまま味わえない、低価格高品質で、しかも食事(日本食を中心とする)にマッチするワインを改めて探す事です。そしてこういうワインは安かろう不味かろうでは決して無く(実際現地で飲めば素晴らしいワインです)、単に長期の輸送にお金をかける業者が少ないという事を、再認識。

ウィステリアワインは、その点米国での保存から日本への輸出まで、ワインを正に「生き物」として大切に扱って来ました。実際今までお客様から品質面でのクレームを受けたことは、幸いありません。ワインは自然と病気の脅威にさらされながら、ワインメーカーが何年もかけて作って来たもの。この生産者の情熱の賜物を、飲み手にお届けする段階で、質を落とすなどという事があってはならない。と、改めて感じた次第です。

さて、こんなエッセイを本日から帰国まで、皆様にお届けして参ります。写真も色々載せて行きます。

Yuki Saito

斉藤ゆき

Diploma WSET, Certified Sommelier, Master of Wine Program
ワイン・コンサルタント 品評会審査員 ワイン・ライター

ニューヨークで金融キャリアを構築後、 生涯のパッションであるワインを、欧米のトップスクールで学び、日本人として希有な資格を数多く有するトッププロ。

ワイン教育の最高学府、Wine and Spirits Education Trust (WSET)の学位(レベル4最上位)をカリフォルニアで、上級資格(レベル3)をトップで本校(ロンドン)にて取得。更に、ソムリエ機関の世界的権威であるCourt of Master Sommeliers(ロンドン)の認定ソムリエ資格も有する。フランス留学は頻繁で、ボルドー、ブルゴーニュを始め、各地のワインスクールでフランス人と共に学ぶ。

現在は、サンフランシスコをベースに、ワインの顧問業務(日米)、連載記事の執筆と講演(日米)、品評会審査と視察(日欧米)を3本柱に活躍する傍ら、ワイン業界最高峰といわれるマスター・オブ・ワインのプログラムに所属し、MWを目指して切磋琢磨中。

3 Comments

  • Marina Tsuruta 8月 31, 2012 at 3:50 pm

    早速、ブログを拝見させて頂きました。
    私は最近、赤ワイン好きの友人に誘われて、赤を飲むようになり、昔は殆ど飲めなかったワインを好きになりました。
    是非、こちらにお帰りの際には、お話を伺えれば幸いです。
    今度素敵なワインを教えて下さい。

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  • Ron Shimada 9月 20, 2012 at 9:13 am

    暫らく見ていなかったら、いつのまにか新しい文章が載っていました。
    うーん、ゆき姐さま、日々益々多様化して進化して行ってますね。
    世の中にはロンドンの食事は不味いと言う偏見があるようですが、ワインだけでなく
    ロンドンのごはんの方も、ワインと合わせて楽しんでくださいな。

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  • Samurai 10月 7, 2012 at 10:39 pm

    この少し薄暗くてどこか寂しげな風景はヨーロッパのどちらで撮影されたのでしょうか?農地を確保するために大変な苦労をしながら山を切り開いてきた日本の山村の厳しい農業を何となく思いださせる光景ですね。カルフォルニアの日光が降り注ぐなだらかな斜面にのんびり佇むぶどう畑というのがナパのイメージですが、ヨーロッパのぶどう畑はちょっと違う風情があるのでは?寒いドイツのワイン作りなど興味があります。

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