アメリカワインのラベルはどうやって読むの?

 

色々な国のワインを試飲し、審査をする仕事に携わっていて感じるのは、ワインのレベルに反映されるお国柄。一番難解なのはドイツで、余りに多い情報量と、複雑怪奇なコード(略語)や色での分別など、相当勉強したプロでもない限り、まず理解不能でしょう。フランスは、それよりましですが、「シャブリ」という表示の前後を読んで、「あっ、これはグランクリュ畑の硬質なシャルドネだ!」とピンポンする人は、フランス通です。

 

その点、新世界のワインは出足が遅かったということもあり、複雑怪奇なワイン法が存在しないせいか、或はアングルサクソン特有のビジネスセンスが発揮されているのか、かなり分かり易い表記です。

 

まず、生産者名と生産年度、葡萄の種類やアルコール度数などが、一目で分かります。すこし勉強が必要なのは、ワインの生産地域。ナパヴァレーや、カーネロスなどが、それに該当しますが、正式名は「アメリカ葡萄栽培地域 = American Viticultural Area、略して  AVA」といい、ナパで16、ソノマで16AVAが存在しますが、まだ葡萄栽培は拡大すると見込まれていること、また広大なAVAは将来的にもう少し細分化されると望まれるところもあり、今後も増えて行くこと請け合いです(実際既に何件か新しいAVAの申請が記録されています)。

 

ワインのレベルに「メルロー」とだけ表示があった場合は要注意。わざわざ100%と謳っていない場合は、通常カリフォルニアのワインであれば75%、ワシントン州なら85%、オレゴン州なら95%以上がその品種であるべきとの規定があります。逆に言えば、カリフォルニアの「メルローワイン」と書いてあった場合は、最高25%まで異品種を混ぜてもよいことになります。勿論、これはほぼ世界共通で国に依っては85%、或は75%という場合も有ります。

 

また「ナパヴァレー」という表記は、葡萄の85%以上がそのAVA(この場合はナパヴァレー)で採れたという意味です。またナパヴァレーなどのAVA記載の他に「トカロン ヴィンヤード」などと、畑の名前がついている場合、葡萄の95%以上がその畑で栽培される必要があります。要はシングルヴィンヤードワイン(単一畑で採れた葡萄で作ったワイン)という限定ワインであれば、通常はほぼ100%そこの畑の葡萄を使ったワインですが、こういう規制が必要となります。

 

大切なのは、自分の好きなワインのAVAだけはしっかり覚えておく事。そして、一歩踏み込んでどこのAVAの、どんな葡萄品種が優良なのかを知っておくと、良い買物が出来ますよ。

 

 

 

 

Yuki Saito

斉藤ゆき

Diploma WSET, Certified Sommelier, Master of Wine Program
ワイン・コンサルタント 品評会審査員 ワイン・ライター

ニューヨークで金融キャリアを構築後、 生涯のパッションであるワインを、欧米のトップスクールで学び、日本人として希有な資格を数多く有するトッププロ。

ワイン教育の最高学府、Wine and Spirits Education Trust (WSET)の学位(レベル4最上位)をカリフォルニアで、上級資格(レベル3)をトップで本校(ロンドン)にて取得。更に、ソムリエ機関の世界的権威であるCourt of Master Sommeliers(ロンドン)の認定ソムリエ資格も有する。フランス留学は頻繁で、ボルドー、ブルゴーニュを始め、各地のワインスクールでフランス人と共に学ぶ。

現在は、サンフランシスコをベースに、ワインの顧問業務(日米)、連載記事の執筆と講演(日米)、品評会審査と視察(日欧米)を3本柱に活躍する傍ら、ワイン業界最高峰といわれるマスター・オブ・ワインのプログラムに所属し、MWを目指して切磋琢磨中。
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