サンタクルーズ・マウンテンズという美しい大自然に恵まれたワイン地域をご存知ですか? サンフランから車で南へ1時間強、シリコンバレー南西に広がる広大な山岳地帯です。

 葡萄地域は、 秀麗なピノ・ノワールやシャルドネを栽培する太平洋岸の涼しい山脈地帯と、 カベルネ・ソービニョンに適した内陸部の2地域に大別されますが、今回はこの山脈地帯に焦点をあてたイヴェントです。

 この大イヴェントは、3月22日〜24日の3日間に渡り開かれましたが、第一日目のワインメーカー達による講義、質疑応答から始まり、ワイナリー別の晩餐ペアリング会、そして最終日のピノ・ノワール集中試飲会と続きます。

 今回のテーマは「テロワールとミネラリティー」。山岳地帯の6つの区域の地質や気候といったテロワールと、各地のワインの味わいの違いを、レクチャーと試飲で探ろうというもの。

 パネリストはそうそうたるメンバーで、近年大変な評判を得ているアーノ・ロバーツ・ワイナリーのダンカン・マイヤーズ氏、カレラ・ワイン・カンパニーのジョッシ・ジェンセン氏(同氏は当日急病のため、ワインメーカーが代打)などが、自分の畑で作るワインとテクニカル・シートを片手に、議題を語ります。司会は私の先生でもあったマスター・ソムリエのデイビッド・グランシー氏という豪華版。

 こういう会が開かれるのは、近代と科学の力で、お蔵でのワイン作りに専念して来たカリフォルニアのワインメーカー達が、近年は丁寧な葡萄栽培に腐心し、自社畑のテロワールを自分のワインに反映、表現することに熱心な証拠でしょう。

 実際、五社のピノを並べて試飲をしていると、各社の畑管理とワイン作りの違いが分かります。中でも、カレラの2009マウント・ハーレン・セレック・ヴィンヤードのピノは、そのはかなげなエレガントさと、奥深くから湧き出てくるようなミネラル分と赤いベリーのダンスが長く尾を引く絶品でした。

 以下、当日ペネルが試飲したワインの一覧です。どれも、甲乙付けがたいサンタクルーズ・マウンテンズ独特のエレガントさです。

 

Calera Wine Company

2009 Mt. Harlan Selleck Vineyard Pinot Noir (上記のワイン)

2009 Mt. Harlan Ryan Vineyard Pinot Noir  (ライアンヴィンヤードは上記に比べると、クランベリー基調のスパイシーなワイン)

2010 Mt. Harlan Chardonnay (白ワインの方が、よりミネラル分の味わいが分かり易いということで、ピノと同時に試飲)

 

Arnot-Roberts Winery

2012 Legan Vineyards Barrel Sample (まだ瓶詰め前の樽サンプルでありながら、ストロベリー基調のブライトな赤いフルーツのバランスが美しく、数年後が楽しみなワインです)

 

Big Basin Winery

2010 Woodruff Family Vineyard Pinot Noir

他のメーカーに比べ、ヴァニラの仄かな香りがあり、酸味の高い印象。

 

Thomas Fogarty Winery and Vineyards

サンタクルーズ マウンテンの頂上からシリコンバレー方向を見る

2010 Windy Hill Vineyard, Estate Pinot Noir SCM  (サンタクルーズ・マウンテンズ老舗のピノ。旨味とミネラル分が基調)

 

Windy Oaks Estate Vinyards and Winery

2010 Henry’s Block  (サワーチェリー基調でフレッシュな酸味が食欲をそそる秀逸なピノ)

Yuki Saito

斉藤ゆき

Diploma WSET, Certified Sommelier, Master of Wine Program
ワイン・コンサルタント 品評会審査員 ワイン・ライター

ニューヨークで金融キャリアを構築後、 生涯のパッションであるワインを、欧米のトップスクールで学び、日本人として希有な資格を数多く有するトッププロ。

ワイン教育の最高学府、Wine and Spirits Education Trust (WSET)の学位(レベル4最上位)をカリフォルニアで、上級資格(レベル3)をトップで本校(ロンドン)にて取得。更に、ソムリエ機関の世界的権威であるCourt of Master Sommeliers(ロンドン)の認定ソムリエ資格も有する。フランス留学は頻繁で、ボルドー、ブルゴーニュを始め、各地のワインスクールでフランス人と共に学ぶ。

現在は、サンフランシスコをベースに、ワインの顧問業務(日米)、連載記事の執筆と講演(日米)、品評会審査と視察(日欧米)を3本柱に活躍する傍ら、ワイン業界最高峰といわれるマスター・オブ・ワインのプログラムに所属し、MWを目指して切磋琢磨中。

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