マウント ヴィーダー (Mount Veeder) AVAの試飲会に行って来ました

ナパヴァレーには、5つのマウンテンAVA (*1)がありますが、このマウントヴィーダー (MV) のワインは、フレッシュな酸味があり、アルコール分も比較的低めで、 エレガントさが魅力 。 他のマウンテンAVA(高いタニンと凝縮したフルーツに代表される男性的なカベルネなど)のスタイルとは、一線を画します。

 理由は、テロワール。ナパヴァレーは、南のサンパブロ湾 から這い上がってくる冷たい空気の影響で、南端の地域(ロス カーネロスAVA)が一番涼しく、北上するほどに気温が上がりますが、MVはそのカーネロスの、すぐ北に隣接する 、ナパでは二番目に涼しい地域。標高730メートル程の山で、 傾斜もきつく(30度に到る場所も)木が生い茂って陰を作っていることも有り、例えば(3月にご紹介した)ラザフォードなどの谷床AVAと比べて、平均気温は5度から10度程低いといわれています。

 また火山性土壌が主流を占めるナパの中で 、この地域は古代の海底にあった土壌といわれ、また表土が浅く養分が低いため、 葡萄の木が土中に深く根を張ることから、ミネラル分を含んだ硬質な葡萄が育ちます。

 カベルネやシャルドネだけではなく、大変質の高いシラーや、ナパでは珍しいピノノワールを作っているワイナリーもありますが、 全体の生産量が少ないことと(山全体の15%、千エーカー程度が葡萄畑)、小規模なブティックワイナリーが手作業でワインを作っている為、ワイナリーでの直売や地元での販売で完売してしまうため、飲む機会が少ないワインでは有ります。

 今回の試飲会では全38件のワイナリーのうち、28件が参加。それぞれのワイナリーのスタイルと、テロワール(土壌など)の違いをじっくりと自分の舌で確認することが出来ました。

 中には、MVの特色(テロワール)を無視して、ナパのいわゆる主流(つまりRutherford/Oakvill やSpring Mountain/Howell Mountain)のまねごとをしていると思われるワイナリーも数件ありましたが、まったく魅力がありません。

 今回試飲した中でも、感心したのはスカイ ヴィンヤーズ(Sky Vineyards)のシラー、ジンファンデルにロゼ、またランピリデ ヴィンヤーズ(Lampyridae Vinyards)のシラー、そしてフォンテネラ ファミリー ヴィンヤーズ(Fontanella Family Vineyards)のシャルドとカベルネなどの3件。

 そして3件とも最も標高の高い地域にあるお隣りさんどうし。正にテロワールを分け合っているようです。こうなるとどうしても訪問して、畑を確認しなければなりません。ということで、早速訪問の打診をし、快諾してもらいました。いずれ訪問記という形でご紹介出来ることでしょう。

*1:

AVA=アメリカ葡萄栽培地区 = については、3月13日付け記事『ナパヴァレーの老舗、谷床AVA』及び2月18日付け「『スプリングマウンテン』をご参照下さい

Yuki Saito

斉藤ゆき

Diploma WSET, Certified Sommelier, Master of Wine Program
ワイン・コンサルタント 品評会審査員 ワイン・ライター

ニューヨークで金融キャリアを構築後、 生涯のパッションであるワインを、欧米のトップスクールで学び、日本人として希有な資格を数多く有するトッププロ。

ワイン教育の最高学府、Wine and Spirits Education Trust (WSET)の学位(レベル4最上位)をカリフォルニアで、上級資格(レベル3)をトップで本校(ロンドン)にて取得。更に、ソムリエ機関の世界的権威であるCourt of Master Sommeliers(ロンドン)の認定ソムリエ資格も有する。フランス留学は頻繁で、ボルドー、ブルゴーニュを始め、各地のワインスクールでフランス人と共に学ぶ。

現在は、サンフランシスコをベースに、ワインの顧問業務(日米)、連載記事の執筆と講演(日米)、品評会審査と視察(日欧米)を3本柱に活躍する傍ら、ワイン業界最高峰といわれるマスター・オブ・ワインのプログラムに所属し、MWを目指して切磋琢磨中。
2 返信
  1. ちびっこ隊
    ちびっこ隊 says:

    あまり試飲する機会のないMVのワイン。試飲会の様子、興味深く拝見しました。露出が少ないAVAなので、とっても勉強になりました。
    改めて地図にて場所とどのワインを飲んだ事があるか確認してみました。何年か前にGod Speedの垂直ティスティングをしたことを思い出しました。熟成も美しく、大変エレガントでした。その時は、2002のカベルネにサーモンという組み合わせのメニューをみて驚きました。が、とっても美味しく頂きました。
    先日、Hess Collectionにも行きましたが、ゆきさんおおっしゃる通り山深く、たくさんの木々の日影が温度差をつくることを肌で感じることができました。今度は早朝に行って、霧の出具合を確認したいです。そして、ゆきさんお薦めのワイナリーのワインを試飲してきたいと思います。

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  2. NVWE
    NVWE says:

    MVのワインのワインにお目にかかる事は少ないですよね。このイベントは貴重でした。
    ワイナリーが少ない分、それぞれの特徴を明らかに味見して比べる事ができました。
    特に2009年のビンテージのものは、タンニンが柔らかく、スムースな印象があります。
    いくつか印象に残ったワイナリーで、特にParatusのカベルネが私は気に入りました。
    カリフォルニアらしいダークなフルーツの凝縮がありながら、エレガントな酸味があり、樽がそのバランスを支えていると思いました。

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