ぶどうが不作といわれる11年のカリフォルニア。そのぶどうでワインを作ってみました。(その2)

今回は数名のお客様の、カベルネ ソービニョンをブレンドします。同じ畑で採れたぶどうを、同じメーカーのお蔵でワインにしたものをブレンドするのですが、同じ味のワインは2つとしてなく、今回もベースワイン(お客様所有の樽からとったワイン)の全てがかなり違う味です。

 

それには色々な理由があります。まずは、畑の位置、お陽様のあたる角度、畑の斜面や木の存在などから始まり、収穫時間のズレや、圧搾のタイミング、そして写真の通りお蔵におさめた樽の位置の違いなどから、味が全て変わって来ます。

 

まずは最初のブレンド。このお客様はアメリカ迄いらして下さり、ブレンド セッションに参加して下さいました。お陰で、かなり細かい調整の際に、直接フィードバックを頂くことが出来ました。

 

とはいえ、樽から抽出したワインはまだ渋く、これから何年も経て一人前になるので、かなりの想像力を要します。また、お客様によっては『瓶詰めしてすぐに飲みたい!』のか、数年寝かして楽しまれるのか、嗜好もかなり異なります。

 

カリフォルニア ワインのファンは、早く楽しみたいという方が多く、その場合はフルーティーな仕上がりに持って行きます。逆に数年じっくりと寝かして、あとでゆっくりという場合には、タンニンや酸味をかなり高くして、瓶熟成に耐える様にブレンドしていきます。

 

さて最初のベースワインを飲んでみると、しっかりと腰があり、タンニンも酸味もしっかりとしています。但し、まだエッジがあるので、この辺をもう少し丸くするのと、喉越しに隙間を感じました。お客様も、ウィステリアヒロとワインメーカーも同じ意見を持ったようで、この2点を改善することに。

 

まずはペティ ヴェルドーというかなり濃いぶどう(ボルドーブレンドとしてよく使う)を全体の1%だけ加えたもの、2%だけ加えた物を調合し、試飲。2%は多すぎて甘さを感じます。1%のほうが丸みがちょうど良いのですが、なにかが物足りません。

 

今度はメルローを2%追加してみます。これで喉越しのフィニッシュが向上しました。が、今度はボデーがイマイチに。

 

そこでカベルネ フランを1%、ペティ ヴェルドーを1%入れてみると、フィニッシュ、バランス、キレ、そして酸味も良い具合に増しました。

 

その後、色々なブレンドをし、結論を出すことになりますが、私はこのブレンドが一番気に入り、意見を具申。「このブレンドは11年という軽めの年(ヴィンテージ)を反映して、どっしりとしたカリフォルニア ワインというよりは、食事に最適な『まるでボルドーブレンドに近い味わい』になっています。もし、典型的なカリフォルニアのカベルネをご所望であれば、メルロートのブレンドでしょう。但し、一番質の良いワインということであれば、こちらのブレンドをお勧めします」と。

 

嬉しいことに、お客様も同意見で「実はカリフォルニアワインが大好きですが、フランスワインも好きなんです。このボルドー風のワインもかなり、気に入っています」とのこと。

 

それに関しては当方の意見として「11年という風変わりなカリフォルニアのヴィンテージを反映しているワインという意味では、これは貴重なカリフォルニアブレンドではないでしょうか?」と申し上げると、「そうですね。特に食事と一緒に飽きずに楽しめる良いワインだと思います」とのことで、こちらのブレンドに決定しました。

 

 

 

Yuki Saito

斉藤ゆき

Diploma WSET, Certified Sommelier, Master of Wine Program
ワイン・コンサルタント 品評会審査員 ワイン・ライター

ニューヨークで金融キャリアを構築後、 生涯のパッションであるワインを、欧米のトップスクールで学び、日本人として希有な資格を数多く有するトッププロ。

ワイン教育の最高学府、Wine and Spirits Education Trust (WSET)の学位(レベル4最上位)をカリフォルニアで、上級資格(レベル3)をトップで本校(ロンドン)にて取得。更に、ソムリエ機関の世界的権威であるCourt of Master Sommeliers(ロンドン)の認定ソムリエ資格も有する。フランス留学は頻繁で、ボルドー、ブルゴーニュを始め、各地のワインスクールでフランス人と共に学ぶ。

現在は、サンフランシスコをベースに、ワインの顧問業務(日米)、連載記事の執筆と講演(日米)、品評会審査と視察(日欧米)を3本柱に活躍する傍ら、ワイン業界最高峰といわれるマスター・オブ・ワインのプログラムに所属し、MWを目指して切磋琢磨中。
0 返信

返信を残す

Want to join the discussion?
Feel free to contribute!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です