ソムリエを活用しましょう

サンフランシスコのセゾンのオーナーはソムリエ

ワインのプロ、特にソムリエの仕事は、お客様に予算内で一番美味しいワインをお勧めすること。しかもオーダーされたお食事との相性も良く、お客様の好みに沿ったワインでなければなりません。

 

どんなにおいしいワインでも、酸味が高い白ワインが苦手という人に、ソービニョン・ブランはお勧めしませんし、寿司を注文された方が、「自分はボルドーの赤しか飲まない」とおっしゃるのであれば、その方は食べ物とワインのペアリングを楽しみに来られた訳ではなく、ご自分の好きなワインと好きな食事を同時に楽しまれたいのだと解釈します。そして決してそのワインとその食事は合いませんとは、口が裂けても言いません。

 

とはいえ、お客様の中には「いつも同じワインばかりを飲んでいるので、違うワインを教えて欲しい」という方(女性客に多いですね)もいらっしゃり、ソムリエの腕の見せ所となります。

 

閑話休題。実は私もタクシーの中や、人との立ち話で、ワインの仕事をしていると話すと、必ず聞かれることあります。それは、「どのワインが一番おいしい?」”What’s the best wine?“という難しい質問。

 

数分で、ベストなアドヴァイスをする為には、まず相手に「いつもどんなコーヒーを飲んでいるの?」と質問します。『濃いめのブラック』であれば、タニンに強い人、『薄いコーヒーにミルクとお砂糖をたっぷり』であれば渋みが苦手な人。また、スパイシーな食べ物に強いか?相当の甘党か、レモンなどをたっぷりと食べ物に振りかけるのか、などなど嗜好分析をします。

 

更に普段どんなワインを飲んでいるのかを聞き、その答え方でその人のワインに対する期待度や経験を計ります。最後に予算を聞いて、アドヴァイス 。

 

昨夜乗ったタクシーの運ちゃんは、「スパイシーな食べ物が大好きで、中華もよく食べる。コーヒーはミルク入りを朝一杯。ジュースが好きで、パイナップルやグアヴァなんかをよく飲む」「赤ワインしか飲まないので、白も飲んでみたい。予算は20ドルまで。」とのこと。

 

彼には、「騙されたと思ってまずフランスのアルザス地方(Alsace)のピノ・グリPinot Grisという15ドルくらいのワインを探して(K&Lなら売っている)。それを、中華やスパイシーな食事を一緒に飲んでみて。すっごく相性がいいから。それが気に入ったら、次はもっとエキゾチックで20ドルはするゲヴァーツトレミナールGewurztraminer(と紙に書いて上げた)を試してみて。多分病みつきになるから!)とアドヴァイス。

 

アルザスのピノ・グリやゲヴァーツトレミナールは、エキゾチックな南国フルーツの香りと味わい、そして酸味と残糖が微妙にバランスの採れたフルボヂィーの白ワイン。大昔にヨーロッパの高級中華料理店で気まぐれに頼んで、その余りの相性の良さにすっかり病みつきになったものでした。

 

 

ソムリエもこんな要領でお客様の嗜好を聞き出し、 料理に合わせて行きます。白身魚の塩焼きにレモンを絞る 代わりに、酸味の高い白ワインを。 ホワイトソースの魚料理には、ヴァニラやバター香りのある、腰がしっかりとした樽醸造のシャルドネをお勧めし、ホワイトソースのバターやクリームとの相性を合わせながらも、白ワインの酸味でクリームソースのしつこさを緩和します。

 

ソムリエがいる店で食事をする際には、気後れせずに、是非彼らの意見を求めて下さい 。 その際に予算はしっかりと伝えること。ワインペアリングとメニューにある場合は、割安で食事に合うワインが用意されています。

 

Yuki Saito

斉藤ゆき

Diploma WSET, Certified Sommelier, Master of Wine Program
ワイン・コンサルタント 品評会審査員 ワイン・ライター

ニューヨークで金融キャリアを構築後、 生涯のパッションであるワインを、欧米のトップスクールで学び、日本人として希有な資格を数多く有するトッププロ。

ワイン教育の最高学府、Wine and Spirits Education Trust (WSET)の学位(レベル4最上位)をカリフォルニアで、上級資格(レベル3)をトップで本校(ロンドン)にて取得。更に、ソムリエ機関の世界的権威であるCourt of Master Sommeliers(ロンドン)の認定ソムリエ資格も有する。フランス留学は頻繁で、ボルドー、ブルゴーニュを始め、各地のワインスクールでフランス人と共に学ぶ。

現在は、サンフランシスコをベースに、ワインの顧問業務(日米)、連載記事の執筆と講演(日米)、品評会審査と視察(日欧米)を3本柱に活躍する傍ら、ワイン業界最高峰といわれるマスター・オブ・ワインのプログラムに所属し、MWを目指して切磋琢磨中。
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