By / 5th 8月, 2013 / ワインの知識 / No Comments

なんてこと、良く有りません?実際、玄人というか、ワインの素養が有る人を前提に作ったリストは、取っ付きについものです。4月10日付けの「『ホワイト・ブルガンデイ』って何?」という記事で触れたように、フランスのブルガンデイ (仏語でブルゴーニュ)のホワイトワイン、イコール100%シャルドネ!と分かる人は、少ないはずです。

 ということで、今回は難解なワインリストの解明シリーズ第一弾。まずはアメリカ最高級レストランの典型ともいえるフレンチ・ランドリー(FL)のワインリストを例にとって解説しましょう。 リストはグラスワイン、ハーフボトル 、そして国別のフルボトルの白、赤と続きます。今回は一番注文する機会が多いと思われるグラスワインのリストを見てみましょう。

 例えば、白ワインの項目に「リオハの白(Rioja, Blanco)」とあります。これはスペイン北東部の山岳地帯で作る地場ブドウ(マカベオ、マルベジアなど)のブレンドです。製造が「2003年度のロペス・デ・ヘレデア(Lopez de Heredia)」とあるので、通は「ロペスにしては『若い』ワインだ」との感想を持ちます。何故ならこの生産者はリオハの伝統的白ワイン — 何十年も寝かせる超辛口ワイン — を今でも作る唯一ワイナリーとして有名なのです。

 このワインの小売価格は米国内で一本25ドル前後ですが、FLではグラスで20ドル。恐らく仕入れ値が20ドルなのでしょう。というのは、グラス一杯のワインの値段は、通常仕入れ値一本分が常識なのですね。

 

他に「リースリング、カビネット、ラインガウ」という秀逸なワインが14ドル。ラインガウ(Rheingau)はドイツが誇る世界最高品質の白ワイン、リースリングの優良生産地。パワフルで酸味と残糖のバランスが素晴らしいワインですが、「カビネット(Kabinett)」 というのは、ドイツのワイン法で最高と認定されたワインに与えられる6種類の甘味規定にひとつ。一番「デリケート」にあたる分類です。プロの間で最高の白ワインというと「ドイツのリースリング!」と言われますが、民間に今ひとつ人気がでないのは、この難解なドイツのワインラベルにあること間違い無し!

 赤ワインの記述で比較的易しいのは、「モルゴンのボージョレ」。名の通りモルゴン(フランスのボージョレ代表産地Morgon)で作るガメイ品種100%のフルーティーなワイン 。ただし、毎年11月に出荷されるボージョレ・ヌーボーとは別物ですよ。(12年5月11号でカバー)

 国産の赤に「アラウホ、メリタージュ、ナパ」という一杯45ドルのワインがあります。これは「ナパを代表するカルトワインのAraujo」が、「カベルネ、メルローなどボルドー品種をブレンドして作ったフルボデイのワイン(Meritage協会認定ワイン)」です。

 でも私なら、こんなリストは止めて、ワインを知らない人にも理解出来る別リストを作るけどな。例えば、「リオハの白」は「シャブリ(ホワイト ・ブルガンデイの一番辛口)」と一緒に、「キレの良い超辛口ワイン」としてまずひとくくり。そして横にブドウ品種も載せますね。

 「リースリング、カビネット、ラインガウ」は「ロワールの白ワイン」と一緒に、「日本食に合うスーパーワイン(日本料理屋)」と見出しをつけるか、「ペアリングに最適なデリケート・ワイン」にくくって、小見出しで「最高品質、低価格のコスパワイン」とでもしますかね。

 それならナパのカルトワインは「カクテル・ワイン、最高価格」で、ボージョレは「成長不良のヌーボーより、ちゃんと成人式を迎えたワイン」とでもしましょうかね〜。

Yuki Saito

斉藤ゆき

Diploma WSET, Certified Sommelier, Master of Wine Program
ワイン・コンサルタント 品評会審査員 ワイン・ライター

ニューヨークで金融キャリアを構築後、 生涯のパッションであるワインを、欧米のトップスクールで学び、日本人として希有な資格を数多く有するトッププロ。

ワイン教育の最高学府、Wine and Spirits Education Trust (WSET)の学位(レベル4最上位)をカリフォルニアで、上級資格(レベル3)をトップで本校(ロンドン)にて取得。更に、ソムリエ機関の世界的権威であるCourt of Master Sommeliers(ロンドン)の認定ソムリエ資格も有する。フランス留学は頻繁で、ボルドー、ブルゴーニュを始め、各地のワインスクールでフランス人と共に学ぶ。

現在は、サンフランシスコをベースに、ワインの顧問業務(日米)、連載記事の執筆と講演(日米)、品評会審査と視察(日欧米)を3本柱に活躍する傍ら、ワイン業界最高峰といわれるマスター・オブ・ワインのプログラムに所属し、MWを目指して切磋琢磨中。

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