ナパ=ブドウ栽培地域とカベルネ目隠し試飲会(2)

目隠試飲が始まり、最初に口に含んで、最初に不思議に思ったのは「何故、典型的などっしりとしてフルーティーなナパのカベルネが少ないのだろう?」ということ。当たり前のラザフォード、オークヴィルのキャブ(カベルネ)は標高ゼロ地域で、パワフル、フルーティーでまろやか。今回のフライトに、これらが混ざっていてもせいぜい1本だと想定されるのですが、それにしても10本のうちの4本までが通常より自然の酸味が高く(ナパではオーストラリア同様、ブドウをかなり熟してから収穫するので、糖分が上がる分、反比例して自然の酸が低くなるため、ワイン醸造時に加酸する)、全般的に果実味が抑えられていて、まるで昔(80年代まで)のナパのカベルネのように、筋肉質。いまでも、こういうワインを多く輩出するAVAはマウント・ヴィーダー(Mount Veeder)なので、ちょっと悩みました。

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試飲の途中で、ヒントとして、ワインのヴィンテージは10年から12年にまたがっていること、全てのワインが違う栽培地域のもので、カベルネ・ベースのワイン(つまり100%から最低66%まで)の差があると教えられて、納得しました。というのは、寒い年で収穫時に大量の雨が降った11年のナパのカベルネは、線が細く(ブドウが何時ものように、フルに完熟せず、酸味が高めだったり、凝縮度が低かったり)通常年よりワインの出来映えが軽めで、ボルドーを彷彿させる青臭さ(といっても微量)が存在します。

 

また、10種類のワインのうち、明らかにメルローが混ざっているものや、カベルネ・フラン、或はプチ・ベルドーがブレンドされている物の味と色の違いが歴然としています。自分なりに結論づけた一覧表を作成し、皆で票を投じます。

 

まず、標高が高いブドウで作ったワインから並べて行きますが、ワインの色が濃い。タンニンが相当高い、果実の凝縮度が高いなどと、その理由をあげて行きます。

 

一番色が深いワイン(#10)を指してデイヴィッドが、「何故このワインだけがこんなに深い紫なのだ?」という問いがあり、まずは挙手をして意見を述べました。曰く、「これはプチ・ヴェルドーがかなりブレンドされている。色と同じく、味わいもはっきりPVの性格が強い」。勿論、生産年の違い、標高の高さなども鑑みましたが、このワインだけは特出した深い紫で、どう考えてもカベルネの色でも、味わいでもない!との自分の結論でした。「ゆき、お見事!」とこれが正解。

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ちなみに、当日試飲した10のカベルネ(ブレンド)の一覧と、銘柄を知らされずに目隠し試飲中で、自分が持った感想を添えます。(次号にて)

Yuki Saito

斉藤ゆき

Diploma WSET, Certified Sommelier, Master of Wine Program
ワイン・コンサルタント 品評会審査員 ワイン・ライター

ニューヨークで金融キャリアを構築後、 生涯のパッションであるワインを、欧米のトップスクールで学び、日本人として希有な資格を数多く有するトッププロ。

ワイン教育の最高学府、Wine and Spirits Education Trust (WSET)の学位(レベル4最上位)をカリフォルニアで、上級資格(レベル3)をトップで本校(ロンドン)にて取得。更に、ソムリエ機関の世界的権威であるCourt of Master Sommeliers(ロンドン)の認定ソムリエ資格も有する。フランス留学は頻繁で、ボルドー、ブルゴーニュを始め、各地のワインスクールでフランス人と共に学ぶ。

現在は、サンフランシスコをベースに、ワインの顧問業務(日米)、連載記事の執筆と講演(日米)、品評会審査と視察(日欧米)を3本柱に活躍する傍ら、ワイン業界最高峰といわれるマスター・オブ・ワインのプログラムに所属し、MWを目指して切磋琢磨中。
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