ストロー付きの小缶に入ったシャンパーニュ?

いや驚いた。普段は決して足を踏み入れないスーパーのワイン売り場の、一番奥の陳列棚。大抵の買い物客なら通り過ぎてしまう忘れられた場所だ。一昔前なら、 そこに並んでいたのは 大瓶の格安「ジャグワイン」。定番のGalloにCarlo Rossi 、そしてAlmadenなどである。ところが今では、こんな重たい瓶に詰めずに、風船のように膨らむBladder (ブラダー)と呼ばれる袋や、ビニール製の袋に詰め、紙の箱に入っている。軽くて持ち運びが便利で、生産者のコストが更に抑えられる。

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よく見ると、ツーバックチャック(two buck chuck)と呼ばれて大ヒットしたトレーダージョーズ(Trader Joe’s)のワインも、最近ではこういう紙の箱に入って普通のスーパーでも売られている。これは正解かもしれない。何も、わざわざガラスの瓶に詰めてコルクを打つ必要などない、早飲み用のワインなのだから。

 

しかし驚いたのは、キラキラ光るショッキングピンクとシルバーカラーの6角形の箱に入ったスパークリングワイン(SP)だ。何ともガーリーで可愛らしい包装だが、開けてみると中から出て来たのは、これまたキュートな小さな缶が4つ。取り上げてみると、なんと日本が昔開発した(に違いない)小さなストローがちょこんとついているではないか!お〜っとばかり、ラベルを見てみると、なるほど〜。あの映画監督転じてワイナリーのオーナーになったコッポラが、娘の名前を冠した「ソフィア」というブランドだ。

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ソフィアのSPといえば、目立つ包装が得意。通常の750ccサイズなら、シャンパーニュもどきの瓶につめて、更に上から黄色い透明なセロファンペーパーをラッピングしている。とはいえ、15ドルで買えるワインだ。この包装は、私が大好きなイタリア最高のSP、フランチャコールタのなかでも、カデルボスコという銘柄が昔から使っているラッピングだ。最初にソフィアをスーパーで見た時は、思わず間違って!、買ってしまいそうになった。

 

そもそもスーパーのこんな場所に行ったのは、こういう奇抜なパッケージングをリサーチするためで、15ドルという大枚(?)をはたいて、缶入りのSPを買ってみた。家に帰って、おそるおそる飲んでみると、まあ思った通りの味だが、キンと冷やして飲む分には悪くないのかもしれない。SPはふたを開けたら飲みきらないと、泡が抜けてしまうが、一人で一本は持て余すのであろう。そういう意味では、こんな小さな缶は女性にとってはありがたいのかもしれない。

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最近では、紙パック(テトラパック)に入ったワインも世界的にかなり流通してきている。テクノロジーが進んだお陰で、酸化もかなり防げるらしい。レストランやバーでは、生ビールよろしく、ワインをタップで飲ませる場所も増えて来た。これなら、グラスワインを気軽にオーダーできるし、コルクの異臭(ブッショネ)リスクもない。

勉強不足の業界人や、形にこだわる消費者、生産者は、未だにワインは瓶に詰めてコルクを打つもの!と決め込んでいる。確かに、購入してから数年、数十年と自宅のワインセラーで保管するなら、昔ながらのパッケージングが良いであろう。が、市場調査で明らかなように、大多数は買ったワインは一日以内に飲むという。であれば、たまには頭を柔らかくして、スクリューキャップや、タップワインを試してみるのはいかがなものか?

 

Yuki Saito

斉藤ゆき

Diploma WSET, Certified Sommelier, Master of Wine Program
ワイン・コンサルタント 品評会審査員 ワイン・ライター

ニューヨークで金融キャリアを構築後、 生涯のパッションであるワインを、欧米のトップスクールで学び、日本人として希有な資格を数多く有するトッププロ。

ワイン教育の最高学府、Wine and Spirits Education Trust (WSET)の学位(レベル4最上位)をカリフォルニアで、上級資格(レベル3)をトップで本校(ロンドン)にて取得。更に、ソムリエ機関の世界的権威であるCourt of Master Sommeliers(ロンドン)の認定ソムリエ資格も有する。フランス留学は頻繁で、ボルドー、ブルゴーニュを始め、各地のワインスクールでフランス人と共に学ぶ。

現在は、サンフランシスコをベースに、ワインの顧問業務(日米)、連載記事の執筆と講演(日米)、品評会審査と視察(日欧米)を3本柱に活躍する傍ら、ワイン業界最高峰といわれるマスター・オブ・ワインのプログラムに所属し、MWを目指して切磋琢磨中。
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