ドンペリ、クリスタル、モエットなど、シャンパーニュの作り手を訪れる

モエ・テ・シャンドンの作り手、ブノワ ゴエスと最新式の工場にて

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日本人にとって、シャンパーニュの最高峰はドンペリニョンのようだ。芸能人や、金廻りの良い客が集まるクラブでは、ドンペリで乾杯!というのが定番らしい。この前東京のリッツカールトンに泊まったら、ドンペリ付き「特別ブランチ」をオファーされたことがある。その人気は衰えるところを知らない。

 

アメリカ人にとってこれに匹敵するのは、より高額なクリスタルかも知れない。近年では、黒人のラッパー達がもて囃し、自分のミュージックビデオで飲み干したり、歌詞に組み入れたりして一斉を風靡した。とは言え、クリスタルを販売する仏ルイ・ローデレール社社長が、 黒人ギャングに絶大な人気がでてしまった現状を指して、「誰が(クリスタルを)飲むか、こちらで選ぶことができない」という発言をして物議をかもした。高貴、高級指向の商品を、黒人ギャングの御用達にされたという思いでもあったのか。後日、その社長と一緒にランチをする機会があったので、よっぽどその後のダメージコントロールについて質問しようかと思ったが、思いとどまった。

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先月そのドンペリ、クリスタルを始め、なだたる名シャンパーニュの作り手達を訪れてきた。ちなみにシャンパーニュに限っては、こういう作り手をシェフ・ド・カーヴ(蔵のボス)と呼ぶ。ワインメーカーではない。彼らの最高にして最大の仕事は、「ブレンド」にある。何百という違う地域の畑でとれるブドウをブレンドし、ブドウ品種(白のシャルドネ、赤のピノ・ノワールやムニエ)の割合を決め、その内の何割を樽(新樽か旧樽か)ステンレス・スティールやコンクリートのタンクで醸造するのか(全く違う味になる)振り分け、どの年の古酒(リザーブワイン)を、何割ずつブレンドするのかを決定する。瓶詰め時には、「門出のリキュール」と呼ばれる甘酒をすこし加え、糖分を調整するが、砂糖の種類とベースワインの質で、味わいが大きく変化する。

 

 

(大好きなクリスタルの最高醸造責任者、ジャンーバプティストと)

寒いシャンパーニュ地方の天候は不順で、毎年ブドウ(ワイン)の質量は大きく異なる。それを上記のブレンドにより、そのハウス特有の変わらぬ味を生み出すのは、神業である。何故なら、ブレンドするのはまだ味が確定していない、樽に入れたばかりの渋いワインで、それら何百種類を利き酒して、2年後、4年後、10年後にどんな味わいに変わるかを見越したうえでの、ブレンドである。それでもモエット やテタンジェの味が毎年変わらないのは、彼らの手腕によるものだ。

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ちなみに、シャンパーニュはざっくり分けて(1)樽醸造をかけ、かなりの古酒を混ぜたどっしり系(クリュッグ、ボランジェなど)と、(2)ステンレス・スティール・タンクで作るフレッシュなフルーティー系(モエ・テ・シャンドン)の2種がある。毎日飲むなら後者、じっくり味わうのなら前者とは、筆者の勝手な嗜好だが、今回は朝から晩まで訪問の先々で、様々な利き酒をさせて頂いた。

 

 

 

 

(まるで修道僧ドンペリニョンの生まれ変わり?シェフドカーヴ、リチャール レフロワ)

ドンペリでは、通常のドンペリに加えて超最高級品として売り出したP1, P2, P3全てを試飲。ルイ・ローデレールではクリスタルを始め、様々なキュベを並列試飲。また、ドラピエでは、門出のリキュールの違いを利き酒するという希有な経験も。要は、超辛口の無加糖シャンパーニュ(ブリュットナチュール、ドサージゼロなどと呼ばれる)は、通には人気があるが、一般人にはちとシビアな味。そこで、加えるのがワインに砂糖を加えたリキュール。使う砂糖の種類(ブドウ糖、サトウキビ、トウモロコシなど)、糖分の量、そしてベースワインの質と年代(1年から数十年物のワインを使う)で、最終的なシャンパーニュの味が大きく変わる。 大変勉強になった。

 

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(「君は、マスターオブワインになるよ」!」と言ってくれたドラピエ氏。嬉しい!がんばろっ!)

Yuki Saito

斉藤ゆき

Diploma WSET, Certified Sommelier, Master of Wine Program
ワイン・コンサルタント 品評会審査員 ワイン・ライター

ニューヨークで金融キャリアを構築後、 生涯のパッションであるワインを、欧米のトップスクールで学び、日本人として希有な資格を数多く有するトッププロ。

ワイン教育の最高学府、Wine and Spirits Education Trust (WSET)の学位(レベル4最上位)をカリフォルニアで、上級資格(レベル3)をトップで本校(ロンドン)にて取得。更に、ソムリエ機関の世界的権威であるCourt of Master Sommeliers(ロンドン)の認定ソムリエ資格も有する。フランス留学は頻繁で、ボルドー、ブルゴーニュを始め、各地のワインスクールでフランス人と共に学ぶ。

現在は、サンフランシスコをベースに、ワインの顧問業務(日米)、連載記事の執筆と講演(日米)、品評会審査と視察(日欧米)を3本柱に活躍する傍ら、ワイン業界最高峰といわれるマスター・オブ・ワインのプログラムに所属し、MWを目指して切磋琢磨中。
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