IMG_7698この4年続いた干ばつを緩和してくれた冬の恵みの雨 のお陰で、樹木が青々と茂っています。このところお花も一斉に開花して、カリフォルニアは本当に久しぶりに春らしい風景。私のような酷い花粉アレルギーを持つ人間には、とても厳しい季節ですが、ブドウ農家やワインメーカーのためには、喜ぶべき環境です。

フリーマンあきこさんのソノマの畑にて

3月のヨーロッパ視察に続いて、4月と5月はアメリカ西海岸のワイン地域を歩き回っていますが、昨年と打って変わって、碧々と茂ったブドウの葉の青さが目にしみます(花粉のせいもあるけど、、)。特に雨の多かったナパやソノマバレーでは、開花が始まって花粉が飛び舞い、私のアレルギーはいっそう酷くなるばかり。昼間は視察に励み、夕方からホテルの部屋で寝込むという毎日の繰り返しです。それでも、順調に育って行くブドウを見るのは、本当に嬉しいものです。

水不足が特に酷い南部の、パソロブルスからサンタバーバラにかけては、風景がすこし変わります。2月に訪れた際には、緑がぼちぼち開花しており、胸を撫で下ろしたもの、4月の下旬には既に雨不足で、ところどころ茶色に変色し始めた自然も見受けられます。もっとも昨年は茶色ばかりの風景だったので、今年の状況は進歩とは言えます。

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春はブドウ農家にとっては、忙しい季節の始まりです。まずは害虫やカビに、農薬や、自然農法であればトリートメント液を散布します。また、木の間に生えた雑草を抜いたり、畑の隙間に植えたカバークロップといわれる益草を管理し、土壌の状態をモニター。ブドウが大きく成長する時に、蔓や枝を括り付ける‘垣根’も修復します。あとひと月もたつと、ブドウの木はあれよあれよと、葉を茂らせ、左右上下に大きく育って行きます。その方向、育つタイミングや大きさを、育つ前に決定し、管理づけて行かなくてはなりません。枝や葉が伸びてからでは、遅いのですね。

 

この時期、ワインメーカー(醸造部門)は暇です。では何をするかというと、昨年までに樽に詰めたワインを瓶詰めしたり、それを売りに行くという作業に没頭します。どんなに良いワインを作っても、売れなければ意味がありませんからね。買って飲んで貰えばこそ、価値のでる商品です。今年の収穫が始まる前に、まず蔵に残っているワインを瓶詰めして出荷し、 スペースを作らなければなりません。秋には収穫されたブドウがどっと入蔵し、これを醸造して樽に収めるまで広大なスペースが必要となります。これをファイナンスするためには、瓶詰めしたワインを売って、キャッシュを確保しなければなりません。IMG_7242

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という訳で、春は世界各地で「ワインメーカーディナー」や「ワインメーカーとの夕べ」などという「ワイン販売イヴェント」がどっと開催されています。この時期、友人(ワインメーカー)に連絡すると留守が多く、「今、ワインを売りに日本に来てます」とか、「XXヴァレーイヴェント」で米国中を巡業中などという返事が返って来ます。最も大手企業ならば、ブドウを作る人、ワインを作る人、そしてそれを売る人は、それぞれ別の部門なので、自分の守備範囲だけ守っていれば良いというサラリーマンです。でも、世界の9割以上のワイナリーは、自分で全て廻さなければならない零細企業。ワイン作りもほんと、大変なのですね。それにしても、この花粉アレルギー、何とかならないかしらん!?

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Yuki Saito

斉藤ゆき

Diploma WSET, Certified Sommelier, Master of Wine Program
ワイン・コンサルタント 品評会審査員 ワイン・ライター

ニューヨークで金融キャリアを構築後、 生涯のパッションであるワインを、欧米のトップスクールで学び、日本人として希有な資格を数多く有するトッププロ。

ワイン教育の最高学府、Wine and Spirits Education Trust (WSET)の学位(レベル4最上位)をカリフォルニアで、上級資格(レベル3)をトップで本校(ロンドン)にて取得。更に、ソムリエ機関の世界的権威であるCourt of Master Sommeliers(ロンドン)の認定ソムリエ資格も有する。フランス留学は頻繁で、ボルドー、ブルゴーニュを始め、各地のワインスクールでフランス人と共に学ぶ。

現在は、サンフランシスコをベースに、ワインの顧問業務(日米)、連載記事の執筆と講演(日米)、品評会審査と視察(日欧米)を3本柱に活躍する傍ら、ワイン業界最高峰といわれるマスター・オブ・ワインのプログラムに所属し、MWを目指して切磋琢磨中。

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