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現在 Unified Wine & Grape Symposiumという、米国最大のワイン業界シンポジュウムに来ている。出席者は業界全てのセグメントを網羅する。ブドウ栽培、ブドウ売買、ワイン醸造、ワイン輸出入、販売業者は勿論、農園、醸造で使う全ての機材、機器の生産者、それらを作るためのリサーチ会社や科学者、学者、またワイン業界に特化している銀行や保険会社など、まさにワインの世界が一堂に会する最大の機会だ。3日に渡り、カリフォルニア州都サクラメントで1月下旬に開催される。毎年ジャーナリストとして招待され、最も新しい情報とテクノロジーを取材するという名目で、しっかり勉強させてもらっている。

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広大な会場には、数千のブースが並び、見本を見ながら使い勝手や値段などの質問ができる。例えば、新しいブドウ農園の立ち上げを考えている顧客のために、農地管理会社のブースに立ち寄り、その足で新しい苗を扱うナーサリーや、最新のトラクターなどの展示ブースを見て回る。オーガニック栽培に興味を示す顧客には、天敵を退治する鷹を貸し出す業者のブースに足を向け、話を聞く。また、日本向け輸出を企画する顧客のために、魅力的なパッケージングを探し、輸出入保険の業者からパンフレットを貰う。勿論、最新のトラクター、収穫機、ブドウ圧搾機なども見て回り、いま流行りの味わいを作り出すというイースト菌の見本や、フランス製の樽の価格の変遷、大手化学企業の商品の案内をゲットしたりする。

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こうした展示会の他に、専門家のセミナーが目白押しで、シンポジュウムの目玉である『アメリカと世界の動向』というアップデートを、毎年楽しみにしている。ワインメーカーとブドウ栽培者のためのレクチャーもぎっしりと詰まっており、タイムリーなトピックが多く、はずせない。悩みは同時に開催されるので、全てに出席できないこと。そこで人海戦術となる。要は知り合いと手分けをして、違うセミナーに出席し、後で情報(録音など)を交換するというわけだ。今年の注目は、農園における作業のオートメ化だ。間違って大統領になってしまったトランプ氏の、メキシコ人労働者に対する厳しい姿勢は、メキシコ人頼りのカリフォルニアのワイナリーを脅かす。どのような移民政策を取るかは不鮮明だが、いずれにせよアメリカ労働者の農業離れは加速し続けており、メキシコ人の労働者が確保できなくなるという前提で、農園作業のオートメ化は必須だ。上記のレクチャーと連動して、会場内のツアーも企画されている。例えば、オートメ化された機械の製造会社のブースを回ったり、醸造に使う(ワインを寝かせる)容器ばかりを見て回るツアーもある。

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その合間に、アメリカ各地で作るワインの試飲会場に足を運び、きき酒をしたり、同業者と意見の交換を行う。コーヒーブレーク中に小耳に挟んだ会話に、各地から集まったワインメーカー達が、最も効率の良いアルコール発酵について情報を交換したり、ヨーロッパから参加した出席者が、アメリカの業界についての感想を述べあったりしているのがあった。最も興味深かったのは、アメリカを始めとする、世界のワイン生産地の動向で、トランプ大統領、ブレクシットという不透明要因も相まって、なかなか興味の深い内容であった。今回も会場を歩きながら、膨大な量のパンフレットや雑誌を貰い、帰宅することになる。集めた情報は、向こう1年間の資料として、活躍してくれるに違いな

Yuki Saito

斉藤ゆき

Diploma WSET, Certified Sommelier, Master of Wine Program
ワイン・コンサルタント 品評会審査員 ワイン・ライター

ニューヨークで金融キャリアを構築後、 生涯のパッションであるワインを、欧米のトップスクールで学び、日本人として希有な資格を数多く有するトッププロ。

ワイン教育の最高学府、Wine and Spirits Education Trust (WSET)の学位(レベル4最上位)をカリフォルニアで、上級資格(レベル3)をトップで本校(ロンドン)にて取得。更に、ソムリエ機関の世界的権威であるCourt of Master Sommeliers(ロンドン)の認定ソムリエ資格も有する。フランス留学は頻繁で、ボルドー、ブルゴーニュを始め、各地のワインスクールでフランス人と共に学ぶ。

現在は、サンフランシスコをベースに、ワインの顧問業務(日米)、連載記事の執筆と講演(日米)、品評会審査と視察(日欧米)を3本柱に活躍する傍ら、ワイン業界最高峰といわれるマスター・オブ・ワインのプログラムに所属し、MWを目指して切磋琢磨中。

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