なんで、そんな受験生活しているの?

この数年間、朝から晩までワイン理論の勉強、目隠し試飲、リサーチ という座りっぱなしの受験生活が続いている。特にこの8ヶ月は、追い込み時期で、全くの缶詰だ。集中しているときなど、3日間自宅から出ないなんていうこともある。料理の時間が捻出できず、連日インスタントラーメンにピザという、 生涯で滅多に食べないジュンクフードのオンパレードだ。 気がついたら1日15時間座りっぱなし。毎日ジムに通っていた人間とは思えないCoach Potato振りである。目指しているマスターオブワイン(MW)という試験は、誰に強要されるわけでもない。取る必要もない。しかも膨大な時間とお金がかかり、更に長期にわたる大きな精神的投資が要求される。つまりは滅茶苦茶チャレンジングで、やり甲斐のある「わたし的には」ワクワクするシロモノなのである。

 

ワインの勉強を始めたのは2011年の1月だった。自分の子供のような年代の同級生に混ざり、 ソムリエ受験の3ヶ月講座に通った。春に無事、ソムリエ資格を得たものの、物足りなかった。固有名詞の暗記ばかりで、ベーシックな知識は得たものの、知りたい知識には遠く及ばない。そこで、まずは フランス語を勉強し、夏には、ボルドー、ローヌ、ブルゴーニュでワイン講座を取りながら、ヨーロッパ各地のワイン地域を視察した。どうせ目指すなら最高峰のマスターオブワインだろうとのイメージがあり、ロンドンの本部(Institute of Masters of Wine)を訪問した。図々しくも「最短距離でMWになる方法」を質問。そこで、Wine and Spirits Education Trust (WSET)という専門国際機関でレベル4までの資格を得ることが、MW試験の応募資格だと知り、そのままロンドンのWSET本校に向かった。ここでも「最短距離でレヴェル4まで達成する方法」を聞く。「レヴェル1から4までは、4年はかかります」と言われて、「いや、2年でやりたい」と無理を言った。結局、ホテルに戻って自分のコンピュータからWSETレヴェル2のオンライン試験を受け、合格。最初の2レヴェルをとばした。レヴェル3はその秋にロンドン本校のみでオファーしているという「5日間」の超短期コース(通常は6ヶ月のコース)を申し込んで帰国。自宅でその受験勉強をしてから、秋にロンドンに戻り、合格した。SFに戻り、すぐにWSET レヴェル4DiplomaというSFでのプログラムに応募した。ガムシャラに勉強し、13年末には全てのプログラムを終了してしまった。

 

念願のマスターオブワインの受験資格を取得したわけだ。開けて14年は、MW Instituteが4年に一度行う大シンポジュームの年。これに外部者として参加。 世界中から集まったMWやそれを目指す人たちと交流し、彼らの知識と見識、人柄に触れて、改めてその高みを極めてみようと思った。MWのプログラムは毎年秋に世界中で応募が始まる。すぐに応募し、合格。晴れて、MW Studentになった。ワインの勉強を始めて、3年半が経っていた。入ってから知ったのは、そこからの道のりの長さと厳しさだ。試験は 1年後に受ける1日の試験で、半分くらいが振り落とされるらしい(これは無事通過)。次のStage 2という試験が、丸4日間にわたる長〜いホンちゃんの試験だ。毎年6月に世界3拠点で一斉に行われる。6年間受験(チャレンジ)資格があるが、その間にすべての科目に通らなければ退学となる。内容は、理論の5科目(栽培、醸造、 実務、ワインビジネス全般、現状)と、目隠しの試飲に基づく論文だ。この間に大半がドロプアウトしていく。 晴れて試験に合格した後に待っているのは、リサーチと論文書きだ。多くのMWに「結局、何年かかった?」と聞くと、「5〜8年」という答えが多い。勿論その間に諦めなければである。さてさて、今年はその試験に初めて挑戦する。今から、ワクワクしている。でも、その後、3ヶ月が針の筵。なんと結果が分るのは9月だそうな!

 

 

 

Yuki Saito

斉藤ゆき

Diploma WSET, Certified Sommelier, Master of Wine Program
ワイン・コンサルタント 品評会審査員 ワイン・ライター

ニューヨークで金融キャリアを構築後、 生涯のパッションであるワインを、欧米のトップスクールで学び、日本人として希有な資格を数多く有するトッププロ。

ワイン教育の最高学府、Wine and Spirits Education Trust (WSET)の学位(レベル4最上位)をカリフォルニアで、上級資格(レベル3)をトップで本校(ロンドン)にて取得。更に、ソムリエ機関の世界的権威であるCourt of Master Sommeliers(ロンドン)の認定ソムリエ資格も有する。フランス留学は頻繁で、ボルドー、ブルゴーニュを始め、各地のワインスクールでフランス人と共に学ぶ。

現在は、サンフランシスコをベースに、ワインの顧問業務(日米)、連載記事の執筆と講演(日米)、品評会審査と視察(日欧米)を3本柱に活躍する傍ら、ワイン業界最高峰といわれるマスター・オブ・ワインのプログラムに所属し、MWを目指して切磋琢磨中。
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