2012 Von Holt Chardonnay Heintz Vineyards

IMG_2175 Small2012            Von Holt      Chardonnay               Heintz Vineyards

醸造元                                    ヴォン・ホールト・ワインズ

醸造年/ヴィンテージ        2012

ブドウ品種                            シャルドネ100%

アルコール度数                    13.0%

ブドウ生産地                        ソノマ・コーストAVAハインツ単一畑

 

カリフォルニア州外ではまず買えない少数限定生産のブティック・ワイン。手作りワインだけに可能な、丁寧な製法で、 ワインの旨味を取り除いてしまうフィルターをかけずに、旨味を凝縮。そのため、きらきらと光り輝く大量生産ワインと違い、多少の濁りと澱が残っています。 ワインを冷やしすぎるとガラスの破片のようなクリスタルが出て来ますが、これも勿論無害。プロの間では、このクリスタルがあるワインは「優良なワイン!」と喜びくらいですが、もし気になるようでしたら、茶こしなどに通して、排除下さい。

飲む一時間くらい前にはボトルを立てて、澱を底に沈めておき、デカンタしてもよし、そのままそっと注いでもよし。冷やしすぎないように注意し、大きいブルゴーニュグラスで飲むと、ぐっと香りと味わいに広がりがでます。

不濾過ワインなので、香りも味わいもとてもパワフル。香り立つ蜂蜜、バター、白檀とぎっしりと凝縮した複雑な果実実(アプリコット、洋梨のコンポート、ベークトアップルなど)が絡み合い、飲み手を圧倒します。

冷厳な気候の「優良な単一畑」のブドウで作っているため、酸味もしっかりと高く、口当たりは辛口。キレのあるフィニッシュは、長い間口中で尾を引きます。

果実味            高度にフルーティーな凝縮感。空気に触れさせることで更に香りも味わいも膨れる

甘味                辛口

酸味                中プラス

渋み                無し

 

Cuvaison Estate Wines  ワインリビュー   

ブドウの葉が赤、黄色、茶色に色づき始めたカーネロス。ナパバレーとソノマバレーにまたがる唯一のアメリカブドウ栽培地域(AVA)で、気候的には一番涼しい場所。故に紅葉もナパバレーの北よりも、早めに始めります。

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この地域で最も有名なワイナリーは、お城のようなに威風堂々としたドメイン カーネロス。スパークリングワインの有名どころですが、その向かい側にあるのがこのキュヴェゾン エステート。本日はアポなしでぶらっと立ち寄り、名刺を見せて、一通りにワインの試飲をさせてもらいました。

 

わたしたち業界人 (評論家、ソムリエ、レストランのオーナー、酒屋、卸売り業者、ジャーナリストなど)は、通常ワインメーカーやオーナーにアポを入れると、3時間くらの時間をとってくれて試飲、ツアー、質疑応答につき合ってくれますが、こうして名刺一枚もって、ぶらっと入ることもあります。

 

本日試飲したのは以下の銘柄。総じて、質のよりブドウを栽培し、衛生的なお蔵で、良心的なワインメーキングをしているというのが、グラスを通じて伝わって来るワインでした。

Cuvaison winery

**         2012 Kite Tail Chardonnay$42 (all retail pricing quotes小売価格)

カーネロスの典型的なシャルドネと言えるでしょう。きれいに熟れたシトラス、リンゴ、梨のコンポートに、フレンチオーク(新樽50%使用)から醸し出された白胡椒やバニラが美しく混ざった一品。余韻に仄かな生姜、パイナップルのスパイシーさや甘さが尾を引きます。

 

The wine in glass demonstrates 100% malolactic fermentation in partial new French oak (+ ageing in mixed barrels) with its round citrus acidity, vanilla and white pepper notes with creamy mouth feel. Apparently ripe vintage with clean, well ripened (but not overdone) grapes. I can taste the grapes being very clean and healthy. Minimum intervention in the cellar is evident.

 

Good typicity of the Carneros Chardonnay. Finish is long with spicy ginger and fresh pineapple among apple, pear and peach. Good commercial value wine.

 

**         2012 Estate Pinot Noir         $38

きれいなルビーのワインから、華やかな赤いチェリー、グリーンリーフ、ベーキングスパイスの香りがたちます。口中でもチェリーとスパイスが交錯しながら、柔らかい酸味と穏やかな苦みを醸し出します。優しく楽しいワインですね。

 

This is one style that Carneros Pinot Noir can offer; mild red cherry acidity, just enough slight zippiness from this grape variety (not spicy/green from wholecluster fermentation which some French PN lovers like) and good balance. Wholesome and enjoyable wine, particularly for entry level PN drinkers. Clean grapes and ripe juice (good vintage plus some bleeding).

 

**+      2012   Spire Pinot Noir         $48

ひとつのクローン(115)をシングルブロックで栽培したブドウから作ったレアワイン。前述のPNに比べると心地よい「青臭さが残る」より玄人好みするピノスタイル。カリフォルニアのピノノワールの一つの典型である「熟した(但し昨今の熟しすぎたものとは一線を画す)」「きれいな」ブドウを使って丁寧に作ったワイン。

 

This is a single block, single clone Pinot, a step up from the previous Estate Pinot. Longer new barrel (50% new French) aging for 16 months added the weight and complexity while the varietal greenness also enhances the flavor profile for Pinot lovers. Ripe clean wine of the New World style and not overdone. Good stylistic balance.

 

*          2012 Estate Syrah               $38

 

ピノとシャルドネばかりが伝統的に有名なカーネロスですが、実は質の高いシラーも少量作っています。オーストラリアのシラーズほど「どっしり、がっつり、フルボディ」ではありませんが、本家本元のローヌ(フランス)のシラー のような硬派なワインでもありません。そう、丁度その中間のフルーティーさと、シラー品種特有の骨っぽさもありますが、どちらかというとフェミニンなワイン。

 

This is closer to Syrah- style wine in California version than Shiraz of Australia (thus properly named on label) Not-tinted (unexpectedly) legs of this deep purple wine suggests conscientious winemaking practice of no over-extraction and no over-maceration.

 

Faint earth, leather and dried violet varietal characters are due to NW version while sweet spices of clove, nutmeg are infused into black and red jams. The comfortable level of stem zippiness made me imagine that the wine might have some inclusion of very ripe stems but I was told not.

 

2011 Brandlin Estate Cabernet Sauvignon           $60

 

11年という気候的に問題が多かったヴィンテージのワインですが、全く問題を感じさせない出来です。但し、ちょっと旨味成分(味の素のような濃い味わい)が高い気がしますが、全体的にカリフォルニアのカベルネの典型ともいえるブラックベリージャムを彷彿させるワインです。

 

Blend = Cabernet Sauvignon 85% +Petit Verdot 9% + Cab Franc 6%

 

 

Before tasting it, I noted the problem vintage of 2011 when many California wines were heavily man-handled. This wine, does not give me that impression though a bit too much MSG-like umami flavors persisted on palate. Ripe jammy black fruit with fresh acidity and well integrated good tannins. Decent wine for bad vintage.

 

**    2011 Henry’s Keep Proprietary Red Wine $98

 

同じ年のブドウ比率の似通ったボルドーブレンドですが、より良い(熟した)ブドウを選んで作った質の高いワインです。上記に比べて、旨味成分が抑えられていて心地よく、またフレンチオークの新樽を更に多く使って、より長く寝かせたワインだということが、分かります。

 

また、双方の赤ワインのブドウは、エレガントなブドウを育てるマウントヴィーダーAVAの自社畑のブドウを使っております。畑は標高1200フィートという高さのため、海からの適度な霧と、東向きの質の良い陽光を受けてゆっくりとブドウが成熟します。

 

難しい年だったということを全く感じさせない出来映えです。

 

 

Blend = Cabernet Sauvignon 81% +Malbec 15% +Petit Verdot 2% + Cab Franc 2%

 

The Bordeaux grape varieties are all planted over (or partially over) the fog line of 1200 feet above Mt. Veeder in the own vineyards. Even though 2011 was a tough year, I can taste the grapes ripened and healthy from the glass. Just enough umami flavors of this black currant black berry toned blend with balanced structure.

 

I can also taste slower ageing in higher ratio of French new oak barrels with fragrant vanilla and mocha, infused with dried violet and plummy jam. Delicious.

Cuvaison wines

 

 

 

ブドウ畑の標高差と、出来上がったワインの関係について?ナパのカベルネの場合(1)

本日は、権威あるワイン・インスティテュート本部(サンフランシスコ市)を会場に、サンフランシスコ・ワインスクール学長のデイヴィッド・グランシーマスターソムリエ(David Glancy MS)が、ナパ・バレーAVAのレクチャーと目隠試飲会を開催。ナパ・ワインを販売、評論する専門家が招かれ、その一人として出席しました。

 

デイヴィッドは、過去に私がCourt of Master Sommeliers のCertificationコースを受講、受験した際の講師でもあります。また資料などを提供したNapa Valley Vintners(NVV)のEducation Marketing Managerのマイケル・クーパーマン氏も同席。NVVは言うまでもなく、ナパ・バレーでワイナリーを営むブドウ農家、ワイン生産者が作る強力な団体で、世界的にも有名なナパ・バレー・オークションを毎年運営。地域の環境管理やナパ・ワインのプロモーションなども手がけるナパ・ワインのロビイストでもあります。

 

本日のテーマは、「ブドウ栽培地域の標高差が反映する、ワインの味わい」。ナパバレーには16のAVA(アメリカブドウ栽培地域=American Viticultural Area)が存在(ナパ郡としてみた場合は17)しますが、海抜ゼロメートルから標高700メートル強までと、そのブドウの栽培環境は多様。勿論、100以上存在するといわれる土壌/地質の違いや、霧や風の影響、丘の斜面角度、日当りなど、他のテロワール要因は多々有りますが、それらを踏まえたうえで、今回のテーマは標高の高低がワインにもたらす影響に絞っての試飲。

 

ナパといえば、カベルネ・ソービニョンが代表格。目隠し試飲した10種のワインは、すべてカベルネをベースにした赤ワインですが、残念なことに、ヴィンテージが3年(2010, 11, 12年)にまたがっていること。とりわけ11年はカリフォルニアワイン史上、唯一にして最悪のヴィンテージでもあり、10年も比較的涼しい年だったこともあって、同じワインであっても出来映えがかなり違うので、比較対象としては余りフェアーと言えない感があります。

 

また、10のワインは全て異なるAVAで作っており、既にテロワールの違いがワインに反映されています。ピュアーに標高差からくる味わいの違いを検証するのであれば、同じ地域(例えばHowell Mountain, Spring Mountain といった同じAVA)の、同じヴィンテージで、標高だけが違うワインを用意すべきでした。

 

とはいえ、それでもこういう機会は稀。出席者は一様に10のワインを目の前に、ブドウ品種(100%カベルネからボルドーブレンドまで様々)、ブドウ栽培地域(AVA)そして標高の違いを、自らの舌と経験、そして理論をベースに評価させられます。

 

カリフォルニアは収穫の真っ最中!

現時点(14年10月8日)でカリフォルニアのブドウ収穫の真っ最中。既に収穫がとうに終わっている地域(暖かい南加州や、早摘みのスパークリングワイン用ブドウ栽培地域)、現在収穫中の(ソノマコーストなど冷厳な)地域、そしてこれから収穫に入る(遅咲きで完熟を要するカベルネなどの黒ブドウ品種、或は収穫を延ばすことでブドウの糖分をあげる必要のあるデザートワイン用)地域に分かれますが、これらの収穫時期が異なるブドウを生育する農家や、ワインメーカーにとって、一年でもっとも忙しい時期。

今年の収穫は、史上もっとも早く始まったと言われていますが、その理由は(1)暖冬で、ブドウの開花が早かったこと、(2)史上最悪といわれる水不足で、ブドウの実が小粒であったこと。この二つが相まって、ブドウが通常より早く実りきったというわけです。

 

ブドウを刈り取る 労働者は、世界のどの地域でも、よそからやって来る季節労働者が大半ですが、カリフォルニアもその例外ではありません。熟練した農業従事者が多いお隣のメキシコから家族ぐるみで毎年やってきて、カリフォルニア全土のブドウ地域を廻る「レギュラー」も多いのですが、近年ではこういう人達がこちらで専従のクルーになって、各農家やワインメーカーと契約を結び定住することも。

ソノマコーストで収穫まじか

とはいえ、よほどの旧家や大手のメーカーで、フルタイムのクルーを確保している一部はともかく、一般の農家は同業者とこういうクルーをシェアーしているので、思った日に収穫要員が確保できないこともしばしば。ましてや今年のように、いちどきにブドウの収穫が重なってしまった場合は、カリフォルニア各地に散らばる畑の収穫を手配するのは大変なチャレンジとなります。

ある地域では順番に熟成するはずのメルロー、シャルドネ、シラー、ピノがいっぺんに収穫期を迎え、人手だけではなくお蔵の機材が廻らずあたふたしたとか。例えば、樽にはまだ前年のワインが入っていたり(この場合、直ぐに瓶詰めをする必要有り)、ブドウを潰して収納するタンクが足りなかったりと、てんてこ舞いをしているようです。

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ちなみに「通常年」(というのは飽くまで教科書上のこと。農業は毎年違う天候の影響を受けるため、毎年イレギュラーです)の「典型的な」収穫時期は、一番早摘みのスパークリングワイン用ブドウが8月の上旬から中旬(勿論地域の温度差によりますが)、次にソービニョンブランクを始めとする白ブドウで大抵9月いっぱい、その後黒ブドウですが、品種により早め(9月)なものとかなり遅め(11月)という差があります。

ナパ バレー アップデート

つい最近、ナパを襲ったマグニチュード6の地震については、発生直後に自分のフェースブック(https://www.facebook.com/yukisaitosf)でアップデートしました。世界中の方々から「ナパは大丈夫?」と問い合わせを頂きましたが、読者の皆さんも既にご存知の通り、人的被害もワイン業界が「実質的」に被った被害も、最小限で済んだのは、幸いでした。

今では世界を代表するワイン地域として、質、値段ともにボルドー、ブルゴーニュと肩を並べるナパ・バレーですが、生産量はカリフォルニア州の4%、世界の中ではほんの0.4%に過ぎません。

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ちなみに、行政地区のナパ郡ではなく、「ナパ・バレー」というアメリカブドウ生産地域(American Viticultural Area略して AVA)に認定されているのは、今回震源地となったアメリカン・キャニオンを最南東とし、ソノマとナパにまたがるロス・カーネロスを最南西とすれば、北の境界はカリストガで、この南北約50キロにまたがる細長い地域に、16のAVAが存在します。(郡として数えると17)。大きさも形状も、フランス、ブルゴーニュの最高畑が並ぶコートドールを彷彿させます。

 

東西の境界線は、西のマヤカマス・マウンテンズと東のヴァカ・レンジという、丘と言った方がしっくりする低い二つの山脈で、距離にしてせいぜい平均5キロ幅。この山に挟まれた盆地(バレー)の真ん中にハイウェイ29号線が走り、両側に林立するワイナリーは古くからナパを代表するものばかりで、モンダビ、オーパス・ワン、ガーギッチ、イングルヌックなど、数え上げたら切りがありません。29号線の南から北に上がると、ヨントヴィル、オークヴィル、ラザフォード、セントヘレナという代々のカベルネの名勝地が見えます。

 

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一昔前までナパの中心地であった、セント・ヘレナの可愛らしい目抜き通りを抜け、温泉とスパで有名なカリストガまで北上する地域は、ナパ・バレーでもっとも暑い場所。逆にカーネロスに向かって南下するほど、涼しくなるのがナパの特徴です。それは、すぐ南のサンフランシスコ湾から這い出して来る、朝夕の涼しい霧と風のせい。

 

湾に一番近くて涼しいカーネロスでは、昔からブルゴーニュ品種(つまりはシャンパーニュ品種と同じ)のシャルドネとピノノワールが、暑い盆地でありながら、朝夕の涼しい空気がながれこんでくる地域(ハイウェイ29号線と、平行して走る美しいシルバラド・トレール沿い)にはボルドー品種のカベルネとメルローが栽培されてきました。

 

近年、とみに注目される5つの山AVAは、西のマヤカマス山脈の南から数えてマウント・ヴィーダー(カーネロスに続く冷厳な気候で、抑えたトーンのワインを生産)、スプリング・マウンテンとダイアモンド・マウンテン(双方とも力強いカベルネ、メルロー、ジンファンデルを生産)、東のヴァガ山脈も南から追ってアトラス・ピーク(生産者が希少で入手が難しい)とハウウェル・マウンテン(パワフルなカベルネと、高級ワインの生産地)。山で栽培されるカベルネを総称して「山カベ」と言いますが、いまでは平地の老舗に負けず相当の値段をつけています。

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ナパ=ブドウ栽培地域とカベルネ目隠し試飲会(2)

目隠試飲が始まり、最初に口に含んで、最初に不思議に思ったのは「何故、典型的などっしりとしてフルーティーなナパのカベルネが少ないのだろう?」ということ。当たり前のラザフォード、オークヴィルのキャブ(カベルネ)は標高ゼロ地域で、パワフル、フルーティーでまろやか。今回のフライトに、これらが混ざっていてもせいぜい1本だと想定されるのですが、それにしても10本のうちの4本までが通常より自然の酸味が高く(ナパではオーストラリア同様、ブドウをかなり熟してから収穫するので、糖分が上がる分、反比例して自然の酸が低くなるため、ワイン醸造時に加酸する)、全般的に果実味が抑えられていて、まるで昔(80年代まで)のナパのカベルネのように、筋肉質。いまでも、こういうワインを多く輩出するAVAはマウント・ヴィーダー(Mount Veeder)なので、ちょっと悩みました。

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試飲の途中で、ヒントとして、ワインのヴィンテージは10年から12年にまたがっていること、全てのワインが違う栽培地域のもので、カベルネ・ベースのワイン(つまり100%から最低66%まで)の差があると教えられて、納得しました。というのは、寒い年で収穫時に大量の雨が降った11年のナパのカベルネは、線が細く(ブドウが何時ものように、フルに完熟せず、酸味が高めだったり、凝縮度が低かったり)通常年よりワインの出来映えが軽めで、ボルドーを彷彿させる青臭さ(といっても微量)が存在します。

 

また、10種類のワインのうち、明らかにメルローが混ざっているものや、カベルネ・フラン、或はプチ・ベルドーがブレンドされている物の味と色の違いが歴然としています。自分なりに結論づけた一覧表を作成し、皆で票を投じます。

 

まず、標高が高いブドウで作ったワインから並べて行きますが、ワインの色が濃い。タンニンが相当高い、果実の凝縮度が高いなどと、その理由をあげて行きます。

 

一番色が深いワイン(#10)を指してデイヴィッドが、「何故このワインだけがこんなに深い紫なのだ?」という問いがあり、まずは挙手をして意見を述べました。曰く、「これはプチ・ヴェルドーがかなりブレンドされている。色と同じく、味わいもはっきりPVの性格が強い」。勿論、生産年の違い、標高の高さなども鑑みましたが、このワインだけは特出した深い紫で、どう考えてもカベルネの色でも、味わいでもない!との自分の結論でした。「ゆき、お見事!」とこれが正解。

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ちなみに、当日試飲した10のカベルネ(ブレンド)の一覧と、銘柄を知らされずに目隠し試飲中で、自分が持った感想を添えます。(次号にて)

ナパ=ブドウ栽培地域とカベルネ目隠し試飲会(1)

14年9月8日 @Wine Institute, organized by San Francisco Wine School in association of Napa Valley Vintners

 

本日は、権威あるワイン・インスティテュート本部(サンフランシスコ市)を会場に、サンフランシスコ・ワインスクール学長のデイヴィッド・グランシーマスターソムリエ(David Glancy MS)が、ナパ・バレーAVAのレクチャーと目隠試飲会を開催。ナパ・ワインを販売、評論する専門家が招かれ、その一人として出席しました。

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デイヴィッドは、過去に私がCourt of Master Sommeliers のCertificationコースを受講、受験した際の講師でもあります。また資料などを提供したNapa Valley Vintners(NVV)のEducation Marketing Managerのマイケル・クーパーマン氏も同席。NVVは言うまでもなく、ナパ・バレーでワイナリーを営むブドウ農家、ワイン生産者が作る強力な団体で、世界的にも有名なナパ・バレー・オークションを毎年運営。地域の環境管理やナパ・ワインのプロモーションなども手がけるナパ・ワインのロビイストでもあります。

 

本日のテーマは、「ブドウ栽培地域の標高差が反映する、ワインの味わい」。ナパバレーには16のAVA(アメリカブドウ栽培地域=American Viticultural Area)が存在(ナパ郡としてみた場合は17)しますが、海抜ゼロメートルから標高700メートル強までと、そのブドウの栽培環境は多様。勿論、100以上存在するといわれる土壌/地質の違いや、霧や風の影響、丘の斜面角度、日当りなど、他のテロワール要因は多々有りますが、それらを踏まえたうえで、今回のテーマは標高の高低がワインにもたらす影響に絞っての試飲。

 

ナパといえば、カベルネ・ソービニョンが代表格。目隠し試飲した10種のワインは、すべてカベルネをベースにした赤ワインですが、残念なことに、ヴィンテージが3年(2010, 11, 12年)にまたがっていること。とりわけ11年はカリフォルニアワイン史上、唯一にして最悪のヴィンテージでもあり、10年も比較的涼しい年だったこともあって、同じワインであっても出来映えがかなり違うので、比較対象としては余りフェアーと言えない感があります。

 

また、10のワインは全て異なるAVAで作っており、既にテロワールの違いがワインに反映されています。ピュアーに標高差からくる味わいの違いを検証するのであれば、同じ地域(例えばHowell Mountain, Spring Mountain といった同じAVA)の、同じヴィンテージで、標高だけが違うワインを用意すべきでした。

 

とはいえ、それでもこういう機会は稀。出席者は一様に10のワインを目の前に、ブドウ品種(100%カベルネからボルドーブレンドまで様々)、ブドウ栽培地域(AVA)そして標高の違いを、自らの舌と経験、そして理論をベースに評価させられます。

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ボルドー研修旅行 (その3)

午前中に数件のマルゴー在シャトーの見学を終え、ランチはシャトー・マルゴーの畑を見ながら、パビリオン・ド・マルゴーでの優雅な昼食。カリフォルニアでは動物愛護の観点から、愚かにも 販売が「禁止」されている「禁断のフォアグラ」を思う存分、ワインとともに楽しみました。

 

さて、午後はマルゴーの北に隣接する、サン・ジュリアン(S J)を訪問。S Jは、グラン・クリュがひしめくオー・メドックの4つのアパラシオン(マルゴー、サン・ジュリアン、ポイヤック、セント・エステフ)の中でも、グランクリュ(前出の1855年ボルドー格付けによる)の占める割合が、一番高いアパラシオン。全生産量のなんと80%がグラン・クリュの作るワインでしめられています。

 

一級格付けシャトーはいないものの、「スーパー・セコンド」と言われる、一級シャトーに迫る第二級格付けシャトーの実力者が複数存在する、質の高いアパラシオン。今回は2つのスーパー・セコンドを訪問しました。

 

まずは実力者の筆頭ともいえるシャトー・デクリュー・ボーカイユ(Decru Beaucaillou, DB)というなが〜い名前のシャトー。Beauは、フランス語でハンサム/美しいという意味で、Caillouは小石。その名の通り、最高品質のカベルネソーヴィニヨンと作るといわれる、水はけの良い砂利や小石が表面を覆う地質です。ワインメーカーにとっては正に「ハンサム/美しい」石でしょう。

 

さて、じゃりじゃりと砂利道を(だじゃれ!)歩くこと、5分。庭の裏手に廻るとシャトーの美しい全容が見えて来ます。「えっ、なんで裏に正面玄関があるの?」と思いますが、それはボルドーの歴史と関係あるのです。(それは次回に)

シャトーの「正面」でブルーノとIMG_7125

ヨーロッパでも仕事をしています(4)

ロンドンでのワイン品評会の審査の仕事と、マインツでのイヴェントの取材を終え、フランス入りしています。この2ヶ月ヨーロッパで今回一番長く滞在するのがフランスですが、通しで滞在するわけではなく、出たり入ったりと目まぐるしいローテーションです。

 

まずは、パリに入り、レンタカーを借りて高速道路をとばすこと約一時間。鮮やかな黄色い菜の花が一面に咲き誇る美しい春の風景を楽しみながら、数十キロを過ぎる頃に、真っ白な石灰岩の土壌が現れます。そこがシャンパーニュの入り口。

 

キメリジアン土壌と呼ばれるこの有名なシャンパーニュの土は、古代の海底が石化したもので、よく見ると細かい貝殻も見て取れ、外から見るとまるで雪が降ったあとのよう。当然、シャンパーニュハウスの地下の土蔵は、同じ土、壁も床もチョークで出来ているので、湿気を含んでおり、質が柔らかく、爪で引っ掻くと簡単にはがれます。

 

今回の訪問の目的はふたつ。カリフォルニアで素晴らしいスパークリングワインを作るローデラー エステート(Roederer Estateルイ ローデレールの米国子会社)とドメイン カーネロス(Domain Carnero同じくテタンジェ)のトップがアレンジして下さった仏親会社の訪問と、いま注目を浴びている「テロワール シャンパーニュ」を作っている小作農家の取材です。

 

最初の訪問先は、私も大好きな「クリスタル」のローデレール社。こういう大手のネゴシアンは、シャンパーニュ地方の2大都市、ランスかエペルネのどちらかに本社を構えていますが、ローデレールもテッタンジェもランスの町中にあります。

実はこの日はバタバタとパリを出発したので、朝ご飯も昼も食べ損ねており、何と最初に口にしたのが2006年のクリスタル!これって、究極の美食朝ご飯ではないかしらん!クリスタルが朝ご飯!

ローでレール社のシャンパーニュ

ルイローデラー本社

ヨーロッパでも仕事をしています(2)

ロンドンでのワイン審査の仕事を終え(とはいえ、この品評会は9月の初旬までずっと世界各国のワインの審査を続けています)、そのまま金曜日の夜にフランクフルトまで飛び、更にライン川方向に向かい電車で30分。美しい古都マインツに来ています。今回はドイツで最高品質ワインを作っているワイン協会(VDP)の招聘で、2013年度のヴィンテージの発表会などに出席し、またジャーナリストとしてワイナリーの訪問や交換会などに出席しています。

夜中に到着したその翌日の朝9時には、ホテルまでバスのお出迎えが有り、早速世界中から集まったジャーナリストと一緒に、ラインヘッセン(ドイツ最大のワイン地域)の畑やワイナリーを視察。早速種々のワインを試飲しました。

 

ラインヘッセンの畑

 

 

いまホワイトアスパラガスの季節(しかもこの旬は短いとか)なので、ランチは早速アスパラガス三昧。グリーンのアスパラと比べ、苦みが低く、噛むと甘みが出て来る絶品で、定番はこれをゆでたものをバターソースで頂くとのこと。その際にはホクホクの新じゃがを添え、できればハムと食べると良いとのこと。

これと一緒に飲むのが、ドイツ人がカジュアルにのむシルヴァナーという白ワイン。リーズリングより辛口で、キレがよく、シンプルですが爽やかなワインです。薦められるまま皆で楽しみましたが、流石に相性もばっちり。

ドイツの春の旬、ホワイトあるパラがすドイツ人が好んで飲むお気軽ワイン、シルヴァナー